学校法人「加計学園」(加計孝太郎)の獣医学部新設を巡り、柳瀬唯夫が愛媛県職員らと面会した際に「安倍晋三案件」と語ったとされる同県作成の文書がみつかった問題で、面会が国会で審議された2017年7月、柳瀬唯夫が周辺に職員らと面会した可能性を認めていたことが、政府関係者への取材で明らかになった。柳瀬唯夫はこの問題が報道された2018年4月10日、愛媛県職員との面会について「記憶の限り会っていない」とのコメントを出しているが、説明が揺らぐ可能性がある。
文書には2015年4月2日、愛媛県と同県今治市の職員が安倍晋三官邸で柳瀬唯夫と面会したと記されている。政府関係者によると、柳瀬唯夫は、参考人として出席した2017年7月25日の参院予算委員会の集中審議前後、周辺に2015年4月2日の面会について説明した。同日は官邸内の会議室で、国家戦略特区の担当だった内閣府の藤原豊(当時)と加計学園関係者と面会。藤原が同伴した4~5人の関係者が同席していたという。
柳瀬唯夫は「藤原が加計学園の関係者を連れてきたという認識。名刺交換をした記憶もなく、同席者が誰かは確認しなかった」とし、「職員と会っていないとは言えない」との趣旨の説明をしたという。柳瀬唯夫は参院予算委では「私の記憶をたどる限りお会いしていない」と答弁したが、実際には面会の可能性を認識した上での発言だったとみられる。
文書には、柳瀬唯夫の発言として「自治体がやらされモードではなく、死ぬほど実現したいという意識を持つことが最低条件」と記載されていた。一方、藤原は2017年6月15日の参院農水委員会で「私や内閣府の担当職員が4月2日に今治市の職員を官邸に紹介、案内したことはない」と答弁している。柳瀬唯夫との面会に同席したとされる愛媛県職員は取材に「コメントできない」としている。
自民党の伊吹文明は16日夜、BS11の番組で「いろいろな情報を聞いていると、柳瀬唯夫は『やっぱり会っている』と言わざるを得ないのではないか」と指摘した。