アンブレラ社にようこそ!キミは新入社員かな? よかったらこれから君が勤め上げていくこの会社について、少し話を聞いていかないかい?
それじゃあまずは、アンブレラがどんな仕事をしているのかについて話そうか。
君も知っての通り、アンブレラはいわゆる複合企業だ。アメリカを拠点にして世界各地に様々な事業を展開している。なかでもやはり、薬品製造の分野では並ぶ者がいないのが事実だ。なにせ、アメリカの家庭用医薬品部門では90%以上ものシェアを誇っているからね。君もわが社のカゼ薬とか使った事があるんじゃないかな? ほら、傘のイラストが書いてある青い箱に入ったヤツさ。ここだけの話ヤクルトも本当はうちが作ったんだよ。
そうそうちなみに、「アンブレラ」という社名は「人々を傘で守る」という意味からきているんだ。僕たちの仕事は人々の幸せを守っていくためのもの。その事をちゃんと頭にいれて仕事をしていかなきゃダメだぞ?
次にアンブレラの歴史について話そうか。
アンブレラは世界的な大富豪のオズウェル・E・スペンサー卿、名門貴族のエドワード・アシュフォード氏、それに生物化学者のジェームズ・マーカス博士が創設した、というのは知っているかな? 彼らは人々を病から救いたいという崇高な理念をもってこの会社を設立して、ここまで必死に努力を続けてきたんだ。もうスペンサー卿以外の方々は亡くなってしまったけど、その崇高な理念は、さっきも言ったような「アンブレラ」という社名に込められて受け継がれているんだ。
おお、そうだ。ここ、ラクーンシティにおけるアンブレラの歴史についても話さなきゃいけないね。
アンブレラがラクーンシティにやって来たのは1970年頃の事なんだ。そのころは、こんなに拓けた場所じゃなくてね。その上交通の便も良くないから、まあ簡単に言えば土地が安かったんだ。そこで、郊外の土地を買って工場を建てたってワケさ。それからは市の皆さんたちと一緒になってこの地域の発展に力を注いできた。地下鉄を作ったり、市の庁舎の改築を援助したりしてね。
そうそう、スペンサー卿もこの辺りが気に入っているみたいでね。あっちのアークレイ山に洋館を持ってるんだ。一応、社が社員保養施設として建てた事になってるんだけど、まあ実際はスペンサー卿の私邸だね。おっと、これは内緒で頼むよ? ははははは。
それにしても君はいい身体してるねぇ。いや、何もそっち系の意味ではないがね、ははははは。さてと、君の配属はどこなのかな? やっぱり、U.S.S.かい? …なに、これを私に渡すよう言われた?
……なるほど、君は裏の配属だったか。ここで話を続けるのはまずい、続きは奥でしよう。
君は処理部隊の方の配属のようだから、今から君がどのようなモノを処理すればいいのか、少し案内しよう。ああ、先程の説明は忘れてくれて構わない。90%くらいは表向きの嘘だからな。
それと、不用意に施設内をウロチョロしないほうが身のためだ。新入りの君はまだデータベース登録が済んでいないだろうから、施設の防衛システムが反応してしまうかもしれない。 一部の最重要エリアは特に危険だ。君を侵入者とみなして部屋に閉じ込め、レーザー兵器で攻撃してくる所もある。サイコロステーキになりたくないだろ?
あと、もし配属先で不審な人物を見かけたら、射殺する前に生け捕りにしてくれると助かる。良質な実験材料になるかもしれないからね。 生け捕りにしたら、追加報酬も弾むよ。
一応言っておくが、これ以降君が見たりしたりする事は決して外に洩らしてはいけない。もし洩らすようなことがあれば、君は処理される側になることを肝に銘じておいてほしい。それだけならまだしも、君も実験材料にはなりたくないだろう?
さて、君が処理に出向かなければならないような案件の原因として考えられるのは、主にウイルスとクリーチャーだな。まずは、我が社で開発しているB.O.W―Bio Organic Weapon、有機生命体兵器の事だ―を見せよう。
あの檻の中の犬が見えるかな? あれはケルベロス。ドーベルマンをベースに開発されたB.O.W.だ。動物の実験体としては成功したほうだが、まだまだ商品になるレベルではなくてね。まあ、君たちでも余裕で殺せるだろう。
あっちの馬鹿みたいにデカい蜘蛛はウェブスピナー、見ての通り蜘蛛をベースに作ったんだが、どうにも頭が悪くてね。失敗作だな。あと、そっちの画面に映っているのがネプチューン。ホオジロザメがベースでね。……見ての通り水中でしか使えないのが欠点だ。
おっと、この施設ではこの程度しかB.O.W.を扱っていなくてね。他のB.O.W.は悪いが実物で見せられないんだ。そこの画面を見てくれるかな?
まず、このトカゲ人間はハンター。人間をベースに爬虫類なんかの遺伝子を取り込んで強化したB.O.W.だ。人間をベースにしただけあって、類人猿程度の知能を残す事に成功してね。そこに映っていいるのはαタイプだが、他にもβやγ、μといったタイプもあるんだ。安価な上にクローニングも可能だから、かなりの数が用意してある。大丈夫、君たちなら何とかなるさ。それにしても、その辺で捕まえてきた薄汚いホームレスがこれほどになるのだから、まったくいい商売だと思わな…ん? おいおい、この程度で青くなっていたらこの仕事は務まらないぞ?
次はこいつだな。キメラというB.O.W.だ。見て分かると思うが、人間の遺伝子にハエの遺伝子を組み込んだんだ。ただ、少し作り方が特殊でね。受精卵の段階で遺伝子操作をして、もう一度子宮に戻して生ませてみたんだ。戦闘力はハンターよりも上だから君たちでも危ないかもしれない。しかしこのB.O.W.、クローンして量産してみたはいいんだが頭が昆虫並みの失敗作でね。正直、在庫の処分に困っているんだ。…そういえば、昔こんなのが出てくる映画がなかったかな?
最後は我が社の誇る最高傑作、タイラントだ。これは成人男性をベースに、ウイルスの投与と肉体改造を繰り返して完成させたB.O.W.でね。兵士として運用可能な程の知能を持たせる事に成功したんだ。色々とバリエーションも豊富で、量産型の他にも、赤い彗星みたいな個体や、他の寄生生物を使って知能をさらに高めた個体なんかも製造している。いくら君たちでも、タイラントは倒せないんじゃないかな、うん。それにしても、ここまでたどり着くのには並々ならぬ苦労があってね、「生きた人間の頭蓋骨を麻酔をかけずに切り開いて、脳下垂体を切り取る」とか色々と愉快なこともやったよ。どうだい、身長が私の2倍近かったり、顔色がやたら悪いのを見落とせば人間に見間違えると思わないかい?
え? 君たちとB.O.W.を戦わせようとしているように聞こえるって? ははは、まさかそんな訳ないだろう?
さて、次にいこうか。あそこで研究員が扱っている、緑色の液体が見えるかな? あれが数々のB.O.W.を生み出したT-ウイルスだ。
スペンサー卿たち3人が発見した始祖ウイルスをマーカス博士が改良して開発したものでね。異なる生物間での遺伝子配合をしやすくする性質があるんだが、感染対象の知能を大幅に低下させてしまうのが欠点だな。まあ、おかげでさっき見せたようなB.O.W.を生み出せたんだ。用済みになって始末されたマーカス博士も、地獄で喜んでいる事だろうね。
問題なのはこのウイルス、伝染性が強い上にかなり不安定でね。少しこのウイルスが漏れただけでも大惨事になってしまうわけだ。ちなみに、T-ウイルスに感染すると、感染から数時間~数日をかけて大脳皮質の壊死や代謝の促進などが起こって、それによって知能の低下と食欲の増大、体の各所の腐敗などが進行してゾンビのような状態になる。まあそこまで行けば外見も中身も人間じゃないから、もし仕事中に見つけたら躊躇い無く処理を頼むよ? あ、いやいやいや。勿論そんな事にならないように細心の注意は払っているが、万が一の場合は君たちの出番だというだけだ。あくまでもしもの場合だよ。
え? 感染の基準? そうだね、前に人体実験の様子見てた感じだと、大きなできものが出来たり、激しい痒みを感じたりしたら危険信号、というか手遅れみたいだね。まあ幸い、このウイルスは空気中ではそう長く活動できないんだ。君たちはウイルスに汚染されたものを口にしたり、感染者と不用意に接触しなければ心配はいらないさ。え?ああ、一応ワクチンはあるんだけどね。ただ、一度ゾンビ化したら手遅れだから気をつけた方がいいと思っていた方がいいだろうね。
おっとすまない、電話みたいだ。説明する事は大体したから、今日は宿舎に入ってゆっくり休むと良い。それじゃあ。
(ガチャッ)はい、何でしょうか? えっ、T-ウイルスが!? はい、はい…分かりました。では至急U.B.C.S.をお願いします。それから、S.T.A.R.S.のウェスカー隊長に……
&color(red){危険 !Biohazard! 危険} この記事は危険な病原菌・ウイルスに感染しています。 これを見ているあなたは残念ですが既に感染者です。 治療方法は、それにしても痒… かゆい うま |