ノーベル数学賞(のおべるすうがくしょう)とは、数学者の卑劣さ、滑稽さをあざ笑う賞である。
この賞は数学者に与えられるノーベル賞であるが、当初からあった賞ではない。そもそもノーベルはノーベル賞は一種類しか制定しない予定であったが、社会の要望により、物理学賞などの科学的な賞もいくつか追加されることとなった。ノーベル自身は乗り気ではなかったが、殺人賞などを勝手に追加しまくる予定であったため化学関連の賞も作られることとなった。それでも断固として創設を拒否したのが数学賞である。ノーベルが遺言でまで丁重に創設を規制した理由は、彼が生前ミッタグ・レフラーによって恋人を奪われたからとされる。
前節で述べたようにノーベルが意地でも創設を拒否したノーベル数学賞は何故現在存在するのだろうか。それはフィールズ賞があるにも関わらず、数学界はノーベル賞の創設を求め、ノーベル賞を管理するノーベル財団に強烈な圧力をかけたからである。今でこそとんでもない権力を誇るノーベル財団であるが、当時はそこまで権力もなかった。しかも、数学賞を作るメリットがデメリットより大きかったため、反対に協力してくれる仲間もほとんどいなかった。ノーベルが生きていれば阻止できた公算が高いが、財団もノーベルを組織の存続理由としてしか見ておらず、死んだノーベルの遺言なんて守る必要ないよねと保身から数学賞を作ってしまったのだ。
ノーベルに対する背信行為を財団が悔いるのに時間はかからなかった。財団が力をつけていくに従い、数学者の圧力に屈したという事実は大きな汚点となっていったのだ。財団が何かするごとに数学賞の事例からごねられるようになり、財団にとって数学賞の存在は目の上のたんこぶとなっていった。それでも賞を廃止しなかったのは、一度作ったものを消すという行為が財団のプライドを大いに刺激し、自分たちの過ちを認めるぐらいなら、誰にも受賞させずに放置したほうがましと考えたらである。
ただ、一度作った賞を放置するのもあれだという意見は方々から散見された。財団も賞を誰にも与えないという逃げ道を突き進むのは難しくなっていった。そんな中、財団職員は数学者たちから受けた数々の辱めを思い出した。最終的にはそれが財団の悪意に火をつけることとなる。財団は受賞者を探すに当たり、財団は性格の悪い数学者や犯罪まがいの行動をとった数学者たちをリストアップし、功績ではなくその破廉恥な行為を受賞理由としたのだ。当然、ノーベル賞の受賞会場には呼ばれるがさらしもの扱い、賞金は借金、ノーベル・クラブからはブラックリスト扱いという他の賞受賞者に比べると天と地ほどの扱いの差がある。彼らに目をつけられた数学者は人生真っ暗である。数学者をいじめすぎて数学を衰退させているという批判は相次いでいるが、強大な権力をもった財団に対抗なんて出来やしないのだ。ノーベル財団恐るべし。
これほどの扱いを数学者にすればノーベルも許してくれるだろうと財団は思っているが、天に召されたノーベルがどう思っているかなんて誰にもわかるわけはない。妄執にとらわれた財団が数学者をいじめるのをやめるのはいつになるのだろうか。
この賞を受賞できるような数学者は特別天然記念物的存在とされ、受賞すると主に悪い方向へと大きな反響を受ける。
アンドレ・ヴェイユ 第1回受賞者・1993年受賞