北朝鮮の金正恩が中国を訪問、習近平と会談したニュースに世界はビックリだ。突然の訪中の裏には金正恩の米国への“恐怖”があったようだ。
2018年3月13日、ドナルド・トランプは穏健派のティラーソンを更迭し、CIA長官のマイク・ポンペオを後任に指名した。マクマスターを解任し、ジョン・ボルトンを後任に充てる方針も打ち出した。ポンペオもボルトンも北朝鮮に対する強硬派だ。ドナルド・トランプがこの2人を抜擢したことで、金正恩が米軍の攻撃に怯えたのは間違いない。
コリア・レポート編集長の辺真一が言う。
「金正恩が『私の電撃的な訪問』と語ったことから、今回の訪中は1週間くらいで急きょ決まったものと思われます。習近平の再選にわずか3行の祝電しか打たなかった金正恩がいきなり妻同伴で訪中した理由は、中国を“用心棒”にしたかったからでしょう。2018年5月に開催されるという米朝首脳会談を前に、中国との良好な関係をドナルド・トランプに見せつけようとしたのだと思う。金正恩は近くロシアのプーチンとも会うはずです」
これまで金正恩は国内から一歩も出ることなく、“引きこもり”状態だった。理由は暗殺を恐れているとも、不在時にクーデターが起きるのを警戒しているとも言われた。それが君子豹変。外交舞台に躍り出たことになる。
金正恩は米朝会談の前に韓国とも南北首脳会談を行う予定だ。その前後にプーチンとも会うとなれば、国際情勢は大きく変わる。気になるのは、ドナルド・トランプがどう出てくるのかだ。
「ドナルド・トランプにとって心配の種が増えたことになります。これまで中国は味方だと思っていたのに、金正恩と握手して寝返ってしまったと、かなりの心理的プレッシャーを受けているはずです」(辺真一)
ほんの3カ月前、国際社会で孤立していた北朝鮮は、一気に中国、ロシア、韓国の3カ国に接近している。北朝鮮がこの3カ国を抱き込んで連合体となり、ドナルド・トランプがその威勢を警戒して米朝会談で妥協すれば、日本だけが取り残されることになる。圧力一辺倒でやってきた“安倍晋三外交”は、また失敗に終わる可能性がある。