尖閣諸島問題とは、日本の施政権下にある沖縄県の尖閣諸島に対し、中華人民共和国(本稿では便宜的に中国と略す)、中華民国(こちらも便宜的に台湾と呼ぶ)など一部の国が領有権を主張していることに関連する問題の総称である。
なお、尖閣諸島は日本の領土であり日本の施政権下にあるため、「領土問題は存在しない」というのが日本政府の公式な立場である。
尖閣諸島は1895年以来、日本の領土(沖縄県の一部)であり、沖縄がアメリカ合衆国の占領下にあった一時期を除いて日本の施政権下にあった。第二次大戦後、密漁や難破船目当ての解体業者など台湾からの密入国者はあったものの、これに対して当時の琉球が取り締まりを行ったことに対して台湾当局が異議を申し立てていない等、領有権についての主張が公的に申し立てられたことはなかった。
しかし1969年-70年に国連が行った調査によって周辺海域に大規模な石油資源が埋蔵されていることが判明すると、突如台湾、次いで中国が尖閣諸島を台湾の一部として領有権を主張し始めた。両国とも歴史的経緯や大陸棚理論などを領有権主張における根拠としているが、1970年以前に両国が領有権を主張したことがなく、アメリカ合衆国が尖閣諸島を沖縄の一部としてその施政権下においていたことにも抗議していないことから、両国の領有権主張は石油資源の発見をきっかけとしてなされたとする見方が日本では主流である。
両国による領有権主張以後も依然として尖閣諸島は日本の施政権下にあるが、周辺海域では中台からの漁民、抗議船などによる侵入が続いている。また中国は海洋調査船や武装した漁業監視船(もと海軍の艦艇改装)等を尖閣諸島周辺海域に送り込んでいる。
漁船を操業させる→武装漁業監視船による威嚇を行う→というパターンは中国が類似した領有権主張を行っている南沙諸島でも行われたものであり、こうした動きについては、近年海軍力を拡大させつつある中国の膨張主義的な政策の一環ではないか、として警戒する見方も存在する。
なお、アメリカ合衆国は尖閣諸島問題について「日本の施政権下にあり日米安保の対象内ではあるが、領土問題そのものについては関与しない」という基本的な立場を取っている。