発情期(はつじょうき)とは、性分化を行う生命体の生殖可能期間を示す言葉である。
生物は基本的に、性別を持たず同一個体の複製を生成して繁殖する無性生殖か雌雄それぞれの個体が性交し両者の特性を併せ持つ新しい個体を生成して繁殖する有性生殖のどちらかを行って繁殖を続けていく。
無性生殖は他の個体の状態に関係なく栄養状態や周囲の環境さえ整えば随時行えるが、有性生殖は雌雄両者のコンディションがしっかりと組み合わされなければ行えない。例えば雌が排卵していなければどんなに雄のコンディションが良くても無駄に終わってしまうし、逆に雄のコンディションが悪く精子製造が滞っていれば雌側が排卵していてもそもそも注ぎ込むモノが無いため有性生殖が行えない。
両者のコンディションを調整し円滑な有性生殖を行えるように「自分は生殖可能な状態であり、問題なく繁殖行動に勤しめる」という事を周囲に伝える為外見や態度を変化させる期間が発情期なのである。
基本的に発情期は二次性徴を迎えた後に気候が安定した時期になると到来する。例えば猫が春先になると「ノォーン」とかわった鳴き声を上げたりするのは、その条件が整ったために他ならない。
ただし人間の場合は寒暖や気象条件の問題を科学的な方法で解決しているので、二次性徴以降は一年中発情期である。ただし、それでは期間区分けが出来ない為特に強く発情している時期のみを特筆して発情期とする事も多い。
そういった時期の人間は異性最優先の思考となり、また全ての行動に性欲を絡めようとする。穴があれば女性器に見えるし棒は全て男性器に見えてしまう。更に価値観の優先度も生殖行為の順位が跳ね上がり、何をおいてもそちらへと持ち込もうとしてしまう。そういった行動や思考を「動物的」「短絡思考」と恥じる向きもあるが、生物にとって最も大切なのは繁殖である。円滑な繁殖を進める為の発情期は、決して恥ずかしい事ではない。