Dictionary

豚カツ

http://dic.nicovideo.jp/oekaki/88320.png

豚カツとは、豚肉にパン粉の衣をつけて油で揚げた料理である。

肉で油物と言う点から高カロリーであり、キャベツが定番の添え物となっている。

概要

大元の起源はフランス料理の「ポーク・カットレット(Côtelette)」であり、それが日本に入ってきて「カツレツ」となった。

「カツレツ」自体は上記のフランス語名にもあるように「何かをパン粉をまぶして揚げたもの」である。

日本では「豚カツ」として特に肉を揚げる料理が発展し、特に「カツ」と言った場合、その後日本で独自に発展した現在の形のものを指す場合が多く、一般的にはフランス料理(のアレンジ)ではなく和食として考えられている。実際、深い鍋に並々と注いだ大量の油で揚げる日本式カツは、元のフランス料理とは全く違う料理へと変化してしまっている。

なお本項では豚肉を用いる「豚カツ」を紹介するが、牛肉を使った「ビーフカツ」ももちろん存在する。

ただ「カツレツ」と言った場合、日本では地域によって豚カツを指すかビーフカツを指すか異なるので注意。「カツレツ」の記事も参照。

作り方

用意するもの

肉のセレクト

豚肉の大きさは好みで。一般的な定食屋の定食に出てくる豚カツは100g前後である。

ロース肉を使ったものが最も多いが、ヒレ肉などでの豚カツもよく見られる(ヒレカツ)。

豚肉はスーパー等で適当な大きさにカットされているものを買ってこよう。脂身が嫌いな人は好みにより切り落としておいても良い。

精肉店でロースの塊を買ってきてカットするところから始めたいという人は、ロース肉を買って来たらまず表面に露出している「スジ」を取り除く事。スジ全てを取り除く事は不可能だが、あまり残っているといざ出来上がったものを齧った時に露骨に分かってしまう。

スジを適当に除去したら、好みの厚さに合わせてカットするだけである。

下ごしらえ

豚肉の下ごしらえとして、ミートハンマー(叩く面に凹凸のついたハンマー)で肉をいくらか叩いて柔らかくしておく。無い場合はその辺の適当な棒とかで叩いても良い。ただし間違っても釘を打つ金槌で叩いてはいけない。金槌が十分に清潔であったとしても、金槌の威力では肉を潰してしまうからだ。金槌でなくてもあまり叩きすぎないようにしよう。

また、肉の厚さにもよって叩き具合を変えよう。1cmを下回るような薄めの肉の場合、柔らかくする以前に叩くとペシャンコになってしまうのでちょっとだけで良い。逆に2cm~3cm以上の厚みを持つ肉の場合、少し伸びて広がったのが分かるくらいには叩いておくと良い。

ただし、脂身を多く残す人は、外側の脂身の部分だけはしっかり叩いておこう。これは柔らかくするためと言うより、脂身は固いせいで肉よりも厚みを保ったままになりやすく、結果火が通りにくくなるためである。いくらか薄くして火を通りやすくするのである。

もう一つ、肉に細かい切れ目の穴を幾つか開けておこう。こうすることで揚げた際の反り返りを防ぐと共に、出来上がったカツをかじった際の歯切れが良くなる。望ましいのは専用の器具(押し付けると一定間隔で並んだ細い刃が出てきて肉に刺さるようになっているもの)を使う事だが、そんなものは一般家庭には無いと思われるので、先の細い果物ナイフか何かで軽く突付いて穴を空ける程度で良い。

肉の準備が済んだら肉に塩コショウを適量振ったのち、小麦粉をまぶす。

まぶすとは言うが、小麦粉の山にぶち込んではたいて落とすと言った方が正確。満遍なく、うっすらとパウダーのように小麦粉が付着している状態が望ましい。

次に卵であるが、卵は普通に溶いておけばよい。出来ればザルで濾して固形物を取り除いておくとベター。

基本的に何も混ぜず卵のままで良いが、肉が凹凸の目立つ形をしている、衣付けのやり方に自信が無く衣剥がれが心配である、パン粉が細かいものである、等と言った場合には卵そのものに小麦粉をいくらか混ぜると良い。

こうすると卵に粘度が生まれ、衣自体が分厚くなり肉の凹凸に密着し剥がれにくくなる。ただしやりすぎると衣ではなくお好み焼きの生地になってしまったり、カツの大きさに対して中の肉が小さく見えてしまったりするので気をつけよう。

パン粉

パン粉は市販の乾燥パン粉でも良いが、よりおいしそうな豚カツを求めるならば生パン粉を推奨する。(生パン粉の方が粒が大きく衣がサクサクとしやすい)

多めのパン粉を容器にあけ、過剰と思えるくらいの多めのパン粉で包んだ上で手でぎゅっと押し潰すくらいの勢いで力を加えて衣をつける。パン粉がいくらか潰れてしまう程度なら全然許容範囲なので、遠慮せずに力を加えるようにしよう。ここで下手にビビると、即衣剥がれに直結する。

もう一つ気をつける点としては、肉の「カド」にあたる部分が手薄になりやすい点。特に脂身を多く残している場合、脂身は(生の状態では)肉部分よりも固いため、パン粉がつきにくい。意識して、カドの部分や脂身の部分にパン粉を押し付けるようにしよう。

こうする事で衣剥がれは防止出来るが、余分なパン粉が大量に付いた状態になる。ぶっちゃけこのまま油に突っ込んでも、余分なパン粉は勝手に取れて行くため問題は無いのだが、後始末が大変になるし、油の劣化を早める原因にもなる。なので、"ある程度は"パン粉をはたいて落としておこう。(本当に"ある程度"で良い。やりすぎると衣の部分のパン粉まで取れてしまう。本当にしっかりと衣付けが出来ている場合、多少はたいた程度では衣の部分のパン粉は落ちてこないのだが、慣れてない人のつけた衣ではそうは行かない)

パン粉まで付け終わったら、いざ油に投入である。

油はカツを1個や2個揚げるためだけにあまり大量に用意しすぎるのも勿体無いが、かといってギリギリの量では肉を入れる事による油の温度低下が激しく、肉に火が通りにくくなる。可能な範囲で出来るだけ多めの油を使おう。

種類はサラダ油でもラードでも良いが、基本はラード。ただし下揚げと仕上げの2回に分けて揚げる場合で、それぞれに別々の油を用意する余裕がある場合は、下揚げの方をサラダ油にするとクドさが程よく緩和される。

油の温度は肉の大きさや揚げる方法によって様々であるが、基本的に「低い温度で長く揚げる」である。

天ぷらより遥かに中まで火が通りづらいため、天ぷらのような高温の油(180℃~190℃)で揚げると中まで火が通る前に外側がカリカリになってしまう。かと言ってビビって低くしすぎると火は通っても衣のサックリ感が失われてしまうので、遠慮しすぎも良くない。目安としては120℃程度である。

揚げる時間は肉の厚さで決める。スーパーに売っているような1cm程度の肉ならば5~6分、よく火が通った肉が好みの人でも7分程度揚げれば十分。2cm程度の肉になると10分は見込んだほうが良いだろう。

以上は1回の投入で揚げる場合のやり方であるが、2回に分けて揚げるやり方もある。

下揚げ(1回目)の油の温度は140~145℃程度にする。1回揚げの時よりも高温であるが、これは「蒸らし」を挟む事で火を通す手助けをするため、油で揚げる時間自体が短いためである。

下揚げの油に投入したら、1cm前後の厚さの肉ならばおよそ3分半程度で引き揚げる。2cmくらい厚みのある肉ならば4分半程度。油から上げたら油の外に置いておき、自熱で火が通るのを待つ。油に入れていた時間と同程度くらい待てば大体火が通る。

蒸らしが終わったら仕上げ(2回目)の油に投入する。仕上げの油は衣のサクサク感を出すためと香り付けのためだけなので、180~185℃くらいの高温が良い。投入したら10~20秒前後でさっと引き上げ、よく油を切ったら完成である。

出来上がったら

出来上がった豚カツには「裏と表」があるのをご存知だろうか?

カツは通常平べったい形をしているため、油で揚げている最中は勝手にひっくり返ったり回転したりしない。そのため、油の中で上を向いていた側のパン粉は油面に向かって「立つ」が、反対側は殆ど立たない。当然パン粉が立っている方を上に、即ち見える側に向けると見栄えが良い。

乾燥パン粉のような粒の細かいものだとあまり差が分からないが、生パン粉だと顔を近づけなくても見てすぐ分かるほど見栄えが変わる。生パン粉をわざわざ用意して作る程手間をかけたカツならば盛り付けの見栄えにも是非気を使ってほしい。

次に、裏と表を確認したところで、カツはそのまま齧って食べるには少々難があるため、一口サイズにカットしよう。

まな板の上にカツを置き、カツの奥と手前のカドを軽く押さえ、「横に滑らないように」して一気に包丁を入れる。切る際に横滑りしてしまうと1回で切れないどころか衣剥がれに直結するため、カツが動かないように押さえて一気にサクッと切る事。

なお、いくらしっかり押さえていても包丁の切れ味が鈍っている場合は肉を切らずに衣を引っ掛けてしまうため、どうしても衣剥がれが発生する。包丁をしっかり研ぎ直すのが一番だが、切れ味の鈍った包丁しかない場合、やむを得ないので垂直に押して切ろう。肉や衣が多少潰れるが、衣が剥がれてしまうよりはマシという事で。

豚カツにかけるソース

豚カツはカツカレーやカツ丼など、他の料理の一部としても使われる事がよくあるが、そのまま食べても美味しい。

とんかつソース

醤油

岩塩

ポン酢

デミグラスソース

味噌

豚カツを使った料理

数え切れないほど存在すると思われるが、代表的なものを一部ここに記述する。

カツ丼

カツカレー

カツ鍋

串カツ

トルコライス

関連項目


トップ   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS