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ウィキペディア編集事件†
ウィキペディアはそのシステム、理念上の理由から特定の保護ページなどを除いて、誰もが全てのページを編集することができる。そのため、第三者を装って自分や自分に関係する項目の内容を都合よく書き換える行為(自作自演)が問題にされてきたが、その実態はなかなか明らかにされることはなかった。
これまで非ログインユーザーの編集内容は個々のIPアドレスごとには閲覧可能なものの、IPレンジや組織単位での把握は簡単にはできなかった。そこで、WikiScanner というツールが開発・一般公開され、ウィキペディアを編集をした際に使用した特定のIPレンジあるいは組織の名前、その編集作業の内容が一目瞭然となった。
話題となった主な編集†
日本語版においても2007年、厚生労働省や農林水産省から大量の記事の編集が行われていたことが発覚した。厚労省からは消えた年金問題で政府を追及していた民主党衆議院議員・長妻昭に対する誹謗中傷、農水省からはガンダムの項目への大量の編集等がなされた。これを受け、両省の事務次官はそれぞれ記者会見で「遺憾である」とするコメントを発表した。この事件以後、各省庁内部のコンピュータシステムを、ウィキペディアの編集不可に設定変更するなど対処をしている。一方で、省庁外部のコンピュータによる改竄の可能性も一部では指摘されている。
日本語版ウィキペディア編集事件†
- 衆議院から接続のIPユーザーが自民党の大村秀章を「社会保障分野にも明るく、自民党の若手社会保障専門家として頭角を現す」等と賛美する記述を追加
- 参議院から接続のIPユーザーが、自民党の山谷えり子の過去の部分で選択的夫婦別姓法案賛成者であったことや統一教会関連等を削除
- 内閣府から接続のIPユーザーが猪口邦子少子化・男女共同参画担当大臣への批判記述を除去。
- 厚生労働省から接続のIPユーザーが民主党の長妻昭を「行政官を酷使して自らの金稼ぎにつなげている」等と中傷する記述を追加。又、アダルトゲーム『ななついろ★ドロップス』への加筆などの編集。
- 農林水産省から接続のIPユーザーがガンダムシリーズ等に関して記述。
- 文部科学省から接続のIPユーザーが本間正明の不祥事を一括除去。
- 宮内庁から接続のIPユーザーが天皇陵や宮内庁関連についての記述を編集。このIPユーザーの編集内容は概ね妥当なものであったが、後日、宮内庁は庁内からウィキペディアの編集を禁止したことを明らかにした。
- アメリカ合衆国の共和党から接続のIPユーザーがイラクの「占領軍」との記述を「解放軍」に書き換え。
- 駐日アメリカ合衆国大使館から接続のIPユーザーが朝鮮の歴史の朝鮮近代史の項目を削除し、「朝鮮に歴史なし 昔から中国、日本、偏狭蛮族の属国」と書き込む。
- 読売新聞から接続のIPユーザーが押し紙問題に関して記述。
- 任天堂から接続のIPユーザーがゲームキューブの初期不良に関する記述を除去。
- エイベックス・ディー・ディーから接続のIPユーザーがエイベックスの「不祥事・問題・疑惑」部分を削除。
- 株式会社アイラインから接続のIPユーザーが、アイラインおよび親会社であるフジスタッフの項目から「偽装請負問題」や「協力会費の天引き」の部分を削除。
コナカから接続のIPユーザーが、コナカの「残業代逃れ問題」部分および残業代支払い逃れ関連の投稿を削除。更に自社製品やCMキャラクターの宣伝記述を投稿。