二次元(にじげん)とは、この世界から歩いては決して行けない隣の世界のこと。
われわれの住む三次元には空間に(x,y,z)の三つの座標軸がある。しかし二次元は(x,y)の二つの座標のみで成り立っている。
つまり我々の世界には長さ、広さ、高さの三つの要素があるが、二次元の世界には長さ、広さの二つの要素しかないのである。
――そう、近年まではそう思われていた。しかしこの仮説には重大な欠点があった。それは後で解説する。――
近年まで二次元には生命体がいないと思われていた。しかし最近では二次元映像化装置や二次元とのコミュニケーション手段が開発され、二次元にも人間がいることが分かってきた。
二次元の人間は、三次元に比べて非常に美男美女率が高い。嘘だと思うかもしれないが、実はこれはゼータ関数によって証明できる。 ゼータ関数
\zeta(s)=\exp\left(\frac{\gamma +\log \pi}{2}s-\log 2\right) \frac{1}{s-1} \prod_{\rho}\left(1-\frac{s}{\rho}\right) \prod^{\infin}_{n=1}\left(1+ \frac{s}{2n}\right)e^{-{s/2n}}
を展開すると、
\log \zeta(s) = \log \prod_{p} \frac {1}{1-p^{-s}} = \sum_{p} \log \frac {1}{1-p^{-s}}= \sum_p \sum_{n=1}^{\infin} \frac {1}{np^{ns}}= \sum_{n=1}^{\infin} \frac {1}{n} \sum_p \frac {1}{p^{ns}}
となる。
これを計算していくと最終的に
\frac {\log \zeta (s)}{s} = \int^{\infin}_{1} \Pi (x) x^{-s-1} dx
という値が得られる。
つまり二次元空間を∞倍積み重ねた三次元世界の値は二次元と比較して値がマイナスとなる。この結果より美男美女率が二次元>三次元である、と証明できるのである。
またこの結果を三次元世界と四次元世界に応用すると、四次元人から見ると我々も非常にキュートでダンディでフレッシュな人間に見えるということである。
美男美女の多い二次元にあこがれた研究者たちは、二次元との完璧な交流をしようと試みたが、二次元から三への通信は2000年代初頭まで成功していなかった。
しかし、2006年新興の先端技術集団プリマステアにより、三次元から二次元への遷移、および二次元・三次元間で交流する技術が開発されたがその詳細は秘密のベールに包まれていた。
2010年、ようやく行き来することができるようになった。それは、寝ることである。人間は睡眠をすると特殊な能力が働く。だが、それだけでは二次元には行けない。さらに、毎週20本以上の二次元映像化装置によって作成された映像を見ることが大切である。人間に秘められた潜在的パワーが開花し、睡眠期間中(およそ7時間)のみ二次元に行くことが可能である。しかし、その制限を過ぎると三次元人は速やかに三次元に強制送還される。2度寝をして再び行くことも可能である。ただし、あまり睡眠ばかりしていると三次元での生活が維持できなくなる危険がある。なぜなら、二次元での現金紙幣は三次元には持ち帰ることができず、使用することもできないからである。
さてここで大きな問題が生じてしまう。それは二次元の人間は物理的に栄養の補給が出来ないということである。
三次元の生命の体には普通消化管があるが、二次元の生命が消化管を持つと、体が真っ二つに割れてしまう。
この問題が提起された直後は、「二次元生命は消化管が完結せず、全栄養をエネルギーに変換できる」「二次元生命は、我々の眼の届かぬ場所で、口から排泄物を吐き出している」などの仮説が多く発表された。
しかし、これはそれぞれ「二次元の住人には大食家や、物理的にほとんど成長しないものも多い。セルロース相当物質を全てエネルギーに変換したとすれば、エネルギー収支が合わない」「二次元の住人は全てエレガントかつ純粋もしくは俗物かつ卑小という結果に反する」などの理由で、完全に否定された。
そのため現在では、二次元は仮想的な高さ、または高さの代わりに四次元的な座標を持つのではないか、といわれている。
つまり我々の三次元は(x,y,z)、四次元世界は(w,x,y,z)の座標を持つが、二次元世界は(w,y,z),(x,w,z),(x,y,w)のいずれか、もしくは全ての座標を持っているのではないか、ということである。
こうすると我々の世界と同じではないが、三つの座標を持つことになるので、消化管の問題を回避できる。
二次元の世界とは我々の存在してるこの三次元と酷似してる点がいくつかある。