罵倒(マー・ダオ、紀元前438年生?~没年不明)とは、古代中国を代表する思想家である。
その生涯および言行の記録は『罵倒語』という書物によって現代に残されているものの、その著者は不明であることから、彼の弟子によって書かれたものか、あるいはまったくの無意味なたわごとすなわち偽書であると言われている(後者の説がより有力であることは言うまでもない)。その書体および文体から、明代(1368年-1644年)に多く執筆、出版された通俗小説(いわゆる三国志演義や水滸伝、西遊記や金瓶梅など)の特徴が色濃く表れており、この年代に書かれたものであるとする説と、「いや、それらに先駆けて書かれたパイオニア的文学である」とする説が存在するが、どちらがより信頼できる情報源であるか、もはや論を待つまでもない。で、肝心の主人公・罵倒の生涯がいかなるものであったかと言うと、あまりに中二病で荒唐無稽なため、書き写すのさえ恥ずかしいのだが、一例(あくまでも一例である)をいくつか挙げると、
まさに怪力乱神かく語りき、名探偵コナンも真っ青の英才ぶりである。が、やはり「神童も二十歳過ぎればただの人」の狂歌にもれず、17歳以降の記録は残されていない。ちなみに、江戸にマダオと呼ばれるおっさんがいるという報告があるが、この男はただのまるでダメなおっさんであり、罵倒とは関係ない。
罵倒は生涯にわたって「和を以て貴しとなす」ことを信条としており、それまで敬語(丁寧語、尊敬語、謙譲語)の存在しなかった中国語に156通りの状況(TPO)に応じた言語体系を確立、広く世に伝えたと言われているが、彼の死後、波乱と混沌に満ち充ちた中華5万年の歴史の中でそれらの美しい言葉はすっかり失われてしまったため、その反動もあってか現代中国語には156×156乗のスラング(隠語、符牒、淫語、その他もろもろ)が生み出されてしまったのであった。つまり、現代において「罵倒語」と呼ばれているものは、彼の人格および思想とはまったく無関係であるばかりか、むしろ正反対の意味として定着してしまったのである。