ノーベル卑劣賞(のーべるひれつしょう)とは、イグノーベル賞と訳されるノーベル賞の一部門である。
この賞は、ノーベル殺人賞など人間の憎悪を表彰した、アルフレッド・ノーベルの遺志を引き継ぎ、1991年に新設された賞である。これは人間は人を殺すことによってのみ、憎悪を表すのではないということを示すために作ったらしい。
受賞対象者は卑劣な言動をした人物・団体である。別に憎悪が無くても卑怯であれば受賞対象にはなりえるが、たいていは深い恨みを持ってそのような行動に出ていることが多い。
ここでは1991年に行われた第一回から最新の受賞者までを挙げる。
年 | 受賞者 | 所属国 | 受賞理由 |
1991年 | ノーベル財団 | スウェーデン | ノーベル卑劣賞という賞を設立し受賞者を笑いの種にしようとした功績に対して。 |
1992年 | ローマ教皇庁 | バチカン市国 | ガリレオ・ガリレイに対する卑劣な態度を悔い改めた功績に対して。 |
1993年 | アルカイダ | (無所属) | 後の9.11に繋がる世界貿易センター爆破事件を起こした功績に対して。 |
1994年 | メジャーリーグ | アメリカ合衆国 | 高給取りのメジャーリーガーがストライキを起こして米国民から娯楽を奪い去った功績に対して。 |
1995年 | オウム真理教 | 日本 | 世界初の民間人に対するテロを地下鉄で実行した功績に対して。 |
1996年 | ミドリ十字 | 日本 | 罪もない人々にエイズウイルスをプレゼントした功績に対して。 |
1997年 | タイ政府 | タイ | 自国の失政により他のアジアの国すら巻き込んだ未曾有の経済危機を起こした功績に対して。 |
1998年 | 金正日 | 北朝鮮 | テポ丼を各国に試食させようとし国際社会から非難を浴びた功績に対して。 |
1999年 | ノストラダムス | フランス | この年に人類が滅びるといういい加減な予測をして人々を恐怖に陥れた功績に対して。 |
2000年 | 雪印乳業 | 日本 | 自社製品に毒物混入。エクストリーム・謝罪一位との同時受賞。これは永世チャンピョン獲得への大きな布石となる。 |
2001年 | ジミー・ウェールズ | アメリカ合衆国 | 人々からユーモアを奪う活動拠点「ウィキペディア」を作った功績に対して。 |
2002年 | スペツナズ | ロシア | モスクワ劇場占拠において、毒ガスをまき散らし人質ごとテロリストを葬った功績に対して。 |
2003年 | ジョージ・W・ブッシュ | アメリカ合衆国 | 少量破壊兵器を探しに、自国とその愉快な仲間たちと一緒に軍を連れて遠足へ行った功績に対して。 |
2004年 | ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ | ウクライナ | 選挙で不正をしてまで大統領へのし上がろうとした功績に対して。 |
2005年 | 中国共産党 | 中華人民共和国 | 戦争という卑劣な行為を合法化する反国家分裂法を成立させた功績に対して。 |
2006年 | 黄禹錫 | 大韓民国 | ES細胞に関する論文をねつ造することにより、ノーベル生理学・医学賞を受賞しようとした功績に対して。 |
2007年 | エクストリームスポーツ実行委員会 | (無所属) | エクストリーム・謝罪をはじめ様々な苦行を強いるスポーツに人々を無理やり参加させ、笑いものにした功績に対して。 |
2008年 | シーシェパード | アメリカ合衆国 | クジラを守るためなら環境も人間も壊す決意の特攻を見せた功績に対して。 |
2009年 | オマル・アル=バシール | スーダン | 中国の陰に隠れて、スーダンで独裁者としてジェノサイドを行った功績に対して。 |
2010年 | 北朝鮮陸軍 | 朝鮮民主主義人民共和国 | 訳もなく韓国に対して民間人も巻き込む砲撃を行った功績に対して。 |
2011年 | アンネシュ・ベーリング・ブレイビク | ノルウェー | 反イスラムを理由としたノルウェー連続テロ事件によって世界最大の短時間大量殺人犯となった功績に対して。 |
2012年 | サムスン電子 | 大韓民国 | Appleとの特許侵害裁判を法の理ではなく国ぐるみのロビー活動で乗り切ろうとして結果負けるという功績に対して。 |
2013年 | ツァルナエフ兄弟 | チェチェン共和国 | ボストンマラソンを爆破した功績に対して。 |
初めてノーベル卑劣賞を受賞したのはノーベル財団である。理由は卑劣な人物をこれ見よがしに表彰してプライドに傷をつける行為が最も卑劣であると自らが認めたからである。
また、ウィキペディアもノーベル卑劣賞を受賞している。ウィキペディアンは自己顕示欲を満たすため自らが載っている受賞者一覧に珍項目という勲章を与え自らが受賞した賞を宣伝している。
なお、ノーベル卑劣賞を4回と最も多く受賞したのは、まともな人も卑劣な人の数も多い米国であるが、次点として日本勢が卑劣賞を3回受賞している。理由としてはエクストリーム・謝罪など、エクストリームスポーツの影響により、賞を獲得するためのテクニックを持つ団体の数が他国を圧倒していることがあげられる。
ただ、それは過去の栄光であるとする識者も大勢おり、事実ここ数年日本もアメリカも受賞できていなかった。日本やアメリカに追い付け追い越せと、世界各国がエース級の参加者を集めた(自然発生という説もあるし、自ら受賞を狙っている権力者も多数存在する。)のが最大の原因である。2008年にアメリカ勢がようやく受賞することができたが、乱戦模様は今後も続きそうだ。当然であるが、ノーベル卑劣賞は狙って取るものではなく、しかも不名誉なものである。だが、一部の人々は悪名は無名に勝るということで、もらえる勲章は出来るだけもらいたいという深層心理も働いているのか、積極的に受賞を狙っている。
これは今までノーベル殺人賞を受賞したくない勲章嫌いの人たちが、殺人を起こさない唯一の理由を消し飛ばしてしまうことになった。昨今の殺人事件の増加の一端はこのノーベル卑劣賞にあるといえる。また、善人に見えていた人が突然この賞を授与してしまったがために、卑怯で残虐な人間とばれてしまい孤立するという、ある意味自業自得な事例も発生している。
ノーベル卑劣賞は設立以来常に批判を浴びてきた。それは時の権力者はたいていは卑劣な人間であり、イメージ悪化を恐れる人たちが受賞を阻止するためにノーベル財団へ嫌がらせをしているからである。それこそ卑劣な行為だが誰も気にしない。
逆に賄賂などを贈り、自分の嫌いな人物にノーベル卑劣賞を贈らせることも多発しているとされ、実際に贈収賄で検挙された人々も3桁を超えるようになった。ノーベル財団自体にノーベル卑劣賞を送ったのは、これをごまかすためであったと財団は認めている。その後は批判が嵐のようにやってきたが、死んだノーベルの威光により、廃止せよという意見はまだ出ていない。