#author("2020-01-30T12:02:58+09:00","default:egashira","egashira")
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[[Dictionary]]

*右翼(ウヨク) [#r5d27db4]
-野球におけるバッターから見て右方向の外野の事である。また、その後ろに位置するスタンドまで含むこともある。その位置を守備するプレイヤーは右翼手と呼ばれる。ライト。
-スポーツ・[[戦争]]などの陣形において右側に突き出た部分の事である。
-飛行機・鳥などの右側の翼の事である。
-週刊少年ジャンプで連載されていたサッカー漫画「LIGHT WING」の略称。
-保守勢力・あるいはそれを持つ政治勢力である。何を以て「保守」とするかは、時代、国毎によって違う。 だが主に歴史、言語、文化、神話等を共有する非合理的な伝統思想に重きを置く立場と言える。(これも細部によっては当て嵌らない事がままある)
--[[左翼]]の思想・行動に反対する者である。
--対義語は[[左翼]]。
--パワーアップすると極右。

**右翼(思想)の発祥-フランス革命後の争い [#r8f24cfa]
当時フランス王国ではフランス革命後、主に王政派、ジャコバン派に分かれて争っていた。あくまで情勢は議会を設置する流れ(三部会招集によって絶対王政は崩れた形なので)だが、王政派は絶対王政死守、貴族・僧侶の特権を守る立場、ジャコバン派は王を立憲君主制の下認める派閥(後のフイヤン派)、や共和制を第一として王政の入り込む余地を認めない派閥(後のモンターニュ派)等がひしめき合っていた。僅か10年程の間だが、この争いの中で王政派、王党派の残党、つまり体制=王政を維持、または無批判に肯定する立場を「右翼」とし、対するもの、主に共和制樹立からさらに[[共産主義]]へ向くものを「[[左翼]]」とする。

**右翼の転換-王党派から民族派へ [#s9dc6d40]
フランスの場合、フランス革命以来の王党派右翼は、ブルボン王家の絶対王政復興派、オルレアン王家の立憲君主制派も、共に19世紀末にはすっかり衰微していった。代わりに外国からの侵略が迫る中で、自分達を守る、つまり当時フランス共和国(第三共和政)が「[[自由]]・平等」を守る合理的理念と共に、フランス語を喋り、シャルルマーニュやルイ太陽王、ナポレオンの歴史を誇り、文学や芸術、カトリックの伝統を共有する「民族」意識という超合理的意識を持つようになった。
フランスの場合、フランス革命以来の王党派右翼は、ブルボン王家の絶対王政復興派、オルレアン王家の立憲君主制派も、共に19世紀末にはすっかり衰微していった。代わりに外国からの侵略が迫る中で、自分達を守る、つまり当時フランス共和国(第三共和政)が「自由・平等」を守る合理的理念と共に、フランス語を喋り、シャルルマーニュやルイ太陽王、ナポレオンの歴史を誇り、文学や芸術、カトリックの伝統を共有する「民族」意識という超合理的意識を持つようになった。

これらの「ナショナリズム」はドイツその他、当時の後進諸国が、ブルジョワ革命で1つの国へまとまっていく中で、非合理的な歴史、言語、神話、伝説の共有によって、国民意識を作っていく事となった。
これらの「ナショナリズム」は[[ドイツ]]その他、当時の後進諸国が、ブルジョワ革命で1つの国へまとまっていく中で、非合理的な[[歴史]]、言語、神話、伝説の共有によって、国民意識を作っていく事となった。

この頃から「国家主義」、「国粋主義」、「民族主義」のキーワードが「右翼」を表すようになる。

**帝国主義と「右翼」 [#o9aee070]
帝国主義時代になると、経済を軸として植民地の争奪合戦が加速し、資本家、企業同士の競争は[[国家]]を巻き込んだものになる。するとナショナリズムは、植民地の獲得と支配で[[世界]]を切り分け、資本の戦いに勝ち抜こうとするブルジョワジーと彼らに巻き込まれる国民多数を熱く捉えるようになる。

ここで、他国を敵として、ブルジョワジー以下の国民が団結する国家主義が盛り上がり、民族や言語、[[歴史]]、伝統等を軸とする「右翼」的なナショナリズムが高揚する事となる。

これまでにはドレフュス事件が関係している。1894年、フランス参謀本部のユダヤ人大尉ドレフュスが、[[ドイツ]]のスパイとの容疑で逮捕され流刑された事件である。これ自体は全くの冤罪であり、人権擁護を張った作家ゾラから自由主義者、民主主義者、共産主義者、アナーキストまでがそれに同じた。

この背景には、隣国[[ドイツ]]への軍事的敵視、警戒のエスカレートと、ユダヤ人はフランスでも異民族だから信用ならないと言う民族主義的偏見があった。この事件を機として、王政とカトリックの復興を唱えてきた「右翼」は、「ナショナリズム」、「民族主義」、「国粋主義」、「対外強硬主義」と合流しようとした。以降これらが「右翼」の思想となる。

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