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詭弁

詭弁とは、一見正しそうに見えるが誤っている論理のこと。要するに間違いである。

逆に一見誤っているように見えるが、実は正しい論理のことを逆説という。

概要

詭弁とは、広義には誤った論理展開全般を指す。狭義には故意があるものに限り、故意が無いものは誤謬とする考え方もある。しかし、故意の有無は使用者の内心なので知り得ず、誤りであることには違いがないので、詭弁と誤謬の区別が議論上の意義を持つことは少ないと思われる。

詭弁とは必ずどこかに誤りを含むものであり、その誤りを見つけ出すことによって詭弁そのものには対処可能である。しかし、詭弁を用いるということは自ら誤りに気づく能力が欠けているか、悪意をもって正しくない結論を押し通そうとしているということであり、個々の詭弁に対処できても、詭弁を用いる人間に対処するのは難しい場合もある。

また詭弁とは正しくある必要がない(正しければ詭弁ではない)ので、いくつでも作り出すことができる。具体例は「詭弁の特徴のガイドライン」などを参照のこと。

分類

論理というのはA→B: 「前提が成立する」「ならば」「結論が成立する」というものの組み合わせなので、論理的に見える形態を取るものはたいてい「前提」に関する誤りか、「ならば」の演繹部分に関する誤りに分類される。

その他には、間違ったことを言っていなくても間違った印象を与える印象操作なども詭弁に含める場合もある。

前提に関するもの

演繹に関するもの

演繹に関するものの大半は、必要条件と十分条件のすり替えに帰着できる。

なお、仮定が偽ならすべての命題は真になることから、詭弁同士はお互いにお互いを証明できる関係にある。従って、自然不自然の差はあるが、考え方次第でどの詭弁に分類することも理論上は可能なはずである。つまり、誤っているかどうかが問題なのであり、分類自体はそれほど重要ではないともいえる。

現代に伝わる古代ギリシャの有名な話に「アキレスと亀」という思考実験がある。

亀が1の距離を進む間に、アキレスは2の距離を進み、亀がアキレスに1の距離を先行しているとき、

アキレスが1進んで亀がいた位置についたとき、亀はそこから1/2だけ進んでいる。

アキレスが1/2進んで先ほど亀がいた位置についたとき、亀はそこから1/4だけ進んでいる。

アキレスが1/4進んで先ほど亀がいた位置についたとき、亀はそこから1/8だけ進んでいる。



以下無限ループとなるので、アキレスは永久に亀に追いつくことができない。

賢明な方々はすでにお気づきのことと思うが、この詭弁における最大の誤りは、亀が1の距離を進む間に、アキレスは2の距離しか進むことができないという仮定にある。ギリシア神話で俊足の英雄として知られるアキレスが亀の2倍の速度しか出せないはずがない。

周知のように仮定が偽であれば、すべての議論は真となるので、そのような議論は無意味である。この例の場合、正しい結論を得るには、アキレスの亀に対する速度を正確に見積もるようにすればよいのである。たとえば、仮定を亀が1進む間にアキレスが3以上進むと訂正すれば、上記で亀が1/2進んだ時点でアキレスは3/2以上進んでおり、アキレスは亀に追いつき追い越せることが証明される。

「アキレスと亀」の記事でも詳しく解説されているので、そちらも参照して、上記が正しいのかどうか、間違っているとしたらどこが間違っているのか、自分の頭で考えてみよう。この記事のソースコードも参考になるので一読するとよいだろう。

関連項目


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