#author("2018-05-17T08:46:02+09:00","","")
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[[ニュース]]

*なぜ[[日本]]では「南北首脳会談」に冷淡な論調ばかりなのか [#t2e8dc49]
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2018年4月27日の板門店での南北首脳会談に対し、[[日本]]では「非核化は共同の目標、と宣言しただけで、どのように、いつまでに実施するかは言っていない」「[[文在寅]]は[[金正恩]]に振り回されている」など、冷淡で警戒的な評論が多い。だが南北の両指導者の活躍により、朝鮮戦争が再燃し核戦争となる最悪の事態がほぼ避けられる情勢になったことは確かだ。[[日本]]もそれに巻き込まれ甚大な被害を受ける危険が去ったことは十分評価に値するだろう。
2018年4月27日の板門店での南北首脳会談に対し、[[日本]]では「非核化は共同の目標、と宣言しただけで、どのように、いつまでに実施するかは言っていない」「[[文在寅]]は[[金正恩]]に振り回されている」など、冷淡で警戒的な評論が多い。だが南北の両指導者の活躍により、[[朝鮮戦争]]が再燃し核戦争となる最悪の事態がほぼ避けられる情勢になったことは確かだ。[[日本]]もそれに巻き込まれ甚大な被害を受ける危険が去ったことは十分評価に値するだろう。

昨年、[[北朝鮮]]は2017年11月末までに14回も弾道ミサイルを試射、2018年9月には水爆実験も行った。これに対し、[[米国]]は2018年11月には空母3隻を日本海に入れ、[[韓国]]海軍、海上[[自衛隊]]と合同演習を行ったり、グアムからB-1B爆撃機を出し、日、韓の戦闘機がそれを護衛するなど、威嚇競争は頂点に達していた。

[[米国]]では「[[北朝鮮]]が[[米国]]に届くICBMを実戦配備する前に先制攻撃をすべきだ」との論も高まっていた。もしそうなれば、自暴自棄となった[[北朝鮮]]が残った核ミサイルを[[韓国]]と[[日本]]に発射する公算は高く、[[日本]]でも数百万人の犠牲者が出かねない状況だった。[[米国]]では「他国に構っておれない。[[米国]]の安全が第一」との主張も出ていた。

[[北朝鮮]]と[[韓国]]は共に存続の危機に直面したから、双方の指導者が滅亡を避けるため必死に協力したのは当然だ。これに対し[[日本]]では「[[文在寅]]は[[北朝鮮]]に融和的だ」と非難する声が高く、[[読売新聞]]が2017年12月20日に発表した世論調査では47%が[[米国]]の武力行使を支持した。これは[[戦争]]を現実のことと考えられない「平和ボケのタカ派」が[[日本]]には多いことを示した。

緊迫した情勢は2017年11月29日「火星15」が53分も飛行し、[[米国]]全域に届く能力を示した直後、[[金正恩]]が「核武力の完成」を声明、これ以上[[核実験]]、ミサイル試射を行わないことを示唆して一転した。この方針は2018年4月20日の[[朝鮮労働党]]の中央委員会総会で「ICBMの試射中止、[[核実験]]場廃棄」などを決定して確定した。

これに至るまで南北双方は、平昌オリンピックの機会を巧みに活用して接触と和解に努め、[[韓国]]は[[米国]]に[[北朝鮮]]の動向を克明に通報してその支持を確保、南北首脳会談にこぎ着けた。さらに米朝を首脳会談にまで誘導するのに多分、成功した外交手腕には感嘆のほかない。もちろん、南北の首脳は[[日本]]のために尽力したわけではないが、[[日本]]が戦争に巻き込まれる危険を避けられたのは両指導者の能力、努力のおかげだ。どちらかが、強硬論一本やりの[[ばか]]だったなら危ないところだった。

**100点中、合格の60点は得た [#cadc6370]
[[ドナルド・トランプ]]が南北の両首脳を称賛するのは当然だ。[[米国]]に届くICBMの実戦配備を[[北朝鮮]]がしないだけでも、[[米国]]本土に対する[[北朝鮮]]の核の脅威は除去され、大惨事を招く[[戦争]]の必要も当面消えたから、その成果を背景に2018年11月の中間選挙に臨める。既に[[ドナルド・トランプ]]は100点満点中、合格の60点は得たと言えよう。だが「完全で検証可能、不可逆的な核廃棄」を唱えた手前、それを簡単に引っ込めるわけにはいかない。[[北朝鮮]]が核と中距離ミサイルを保有し続けることには、特に[[日本]]が反発する。[[北朝鮮]]が「核不拡散条約」への復帰に同意すれば一応の検証は可能だが、軍の施設の査察は拒否しそうだ。すでに水爆と運搬手段の開発に成功した[[北朝鮮]]は、近代的な通常兵器では[[韓国]]と大差があるから、完全な核廃棄に応じる可能性は極めて低い。

米朝首脳会談でも非核化は期限をぼかした努力目標として、[[ドナルド・トランプ]]が「完全非核化を[[北朝鮮]]にのませた」と国内で宣伝できるような表現にして顔を立てることになる可能性が高いだろう。

その代償として、朝鮮戦争休戦協定を正規の講和条約にし、米朝の国交樹立と各国の経済支援で[[北朝鮮]]を相互依存の枠に引き込み、核を使わせないようにする体制となっても、[[日本]]としては[[北朝鮮]]の「思うつぼ」に入るのは悔しいから経済支援に消極的となりそうだ。昨年、約45兆円もの貿易黒字を出した[[中国]]([[日本]]の黒字は3兆円弱、[[韓国]]は約13兆円の黒字、[[米国]]は約61兆円の赤字)が経済支援の主役となり、[[北朝鮮]]は[[韓国]]と同様に[[中国]]の経済圏に組み込まれていく形勢かと思われる。
その代償として、[[朝鮮戦争]]休戦協定を正規の講和条約にし、米朝の国交樹立と各国の経済支援で[[北朝鮮]]を相互依存の枠に引き込み、核を使わせないようにする体制となっても、[[日本]]としては[[北朝鮮]]の「思うつぼ」に入るのは悔しいから経済支援に消極的となりそうだ。昨年、約45兆円もの貿易黒字を出した[[中国]]([[日本]]の黒字は3兆円弱、[[韓国]]は約13兆円の黒字、[[米国]]は約61兆円の赤字)が経済支援の主役となり、[[北朝鮮]]は[[韓国]]と同様に[[中国]]の経済圏に組み込まれていく形勢かと思われる。

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