また一波乱ありそうだ。2018年10月11日の豊洲市場への移転まで残すところ約5カ月。豊洲市場に設置する観光拠点「千客万来施設」の整備が遅れている問題で、小池百合子は2018年5月1日に事業者の「万葉倶楽部」本社を訪問。同社が撤回を求めている築地跡地の「食のテーマパーク」構想について説明したが、色よい返事はなし。先行きはなお不透明だが、さらなる「問題動画」がネット上に流出し、物議を醸している。
動画には、市場出入り口のヘアピンカーブをトラックが窮屈そうに行き来する様子や、市場建物内を上下動するためのスロープを行き交う小型トラック(ターレー)から積み荷が落ちる様子が撮影されている。関係者から「危ない」「落ちる」といった声が上がっているのがハッキリと聞こえる。
“阿鼻叫喚”の状況にネット上では〈これはひどい〉〈どう見ても危ない〉〈(移転は)絶望的〉と不安視するコメントがあふれ返っている状況だ。
「一部の市場業者が都の許可を得て、現地での習熟訓練の様子を撮影した動画で、時期は2016年秋ごろ。都職員や市場関係者も同席していたようです。当時、都側から公開される予定でしたが、移転推進派の猛反発を恐れた知事ブレーンが握り潰したといいます。今になって動画が流出したのは、豊洲市場の『使い勝手』の問題がロクに解決されないまま“放置”されているからでしょう」(都政関係者)
実際にこの習熟訓練に参加した市場関係者は、「スロープの傾斜がキツく、積み荷をバンドで締めたり、ラップをかけて固定しないとこぼれ落ちる。当然、その分余計なコストがかさみかねない」と話した。都は今月中旬にも習熟訓練を開催する予定だが、“阿鼻叫喚”の再現になりかねない。東京中央市場労組の中澤誠執行委員長が言う。
「積み荷については、我々業者が『積み過ぎない』よう気をつけるしかありません。都はスロープの折り返し地点にカーブミラーを設置することを決めましたが、出合い頭の事故には不安が残ります。スロープを下ってくるターレーは相当スピードが出ますから、急ブレーキをかけざるを得ない。最悪、ターレーがひっくり返るような大事故になる恐れもあります。使い勝手については、まだまだ問題点が残されている状況です」
これだけの問題をたった5カ月で解決できるのか。
小池百合子は、移転の「再延期」をするしかないのではないか。