日本年金機構がデータ入力を委託した情報処理会社「SAY企画」(東京)が大量の入力ミスをしていた問題で、機構の担当職員は2017年10月に同社の契約違反を把握したが、機構幹部には情報共有されなかったことが機構への取材でわかった。
2015年に約125万件の個人情報が流出した問題でも、機構内部で情報共有されずミスの拡大につながっており、教訓が生かされていなかった形だ。
機構は2017年8月、同社に所得控除に必要なデータ入力を委託。機構の担当職員は2017年10月、入力作業員が同社の説明よりも少ないことや、契約に反して手入力せずにスキャナーで入力していた事実を把握した。職員は上司に報告したが、作業の遅れへの対応を優先した上司は担当役員らに報告しなかった。同社はスキャナーによる入力を続け、担当職員は契約違反が是正されたか確認せず、入力ミスが拡大したとみられる。