これで「おとがめなし」であれば、財務省は“罪務省”に名前を変えた方がいい。テレビ朝日の30代の女性記者に対して「おっぱい触っていい?」などと執拗に迫るセクハラ暴言疑惑が発覚し、辞任表明に追い込まれた福田淳一。エロトーク満載の音声録音について「全体をみれば該当しないことは分かるはず」などと自身の発言を暗に認めつつも、いまだにセクハラについては完全否定を続けている。
晩節を汚すとはこのこと。全く往生際が悪いが、ノラリクラリ時間稼ぎしていた理由はおそらくカネだ。セクハラ問題に関する野党の合同ヒアリングで、退職金は最大で5300万円に上ることが判明。2018年4月24日の閣議で辞任が了承され、当面退職金の支払いは留保されることにはなったものの、満額支給の可能性もあるというから冗談じゃない。
野党側は「食い逃げを許すな」と猛反発し、2018年4月23日、財務省の長峯に福田淳一の処分などを求めている。
「退職金が支払われるのは約1カ月後だから、それまで財務省もセクハラ調査の結果も公表しないでしょう。しかし、いったんカネが支払われたら、取り戻すことは難しい。福田淳一は『裁判で争う』と言っているのだから、まずは官房付などに異動させて退職金の支給も棚上げするべきです」(野党議員)
野党が注目しているのは野田聖子だ。今回のセクハラ暴言疑惑について閣僚として厳しい発言を繰り返してきたからだ。
共同通信の取材でも、野田聖子は「私も落選中に有権者からセクハラを受けた経験がある」「財務省は、セクハラの原理原則を知らない。調査の発想自体が間違っている」「国の政治、行政の威信に関わる問題だ。次官は役所の事務方トップという存在。もしあの音声が次官のものであれば、国家公務員のリーダーとして、国家公務員の信用を失墜させる」とケチョンケチョンだった。
野田聖子の指摘は極めてまっとう。閣議でも現時点での福田淳一辞任を了承せず、徹底的に突っぱねるべきだろうが、果たして野田聖子はどう判断するのか。総務省に問い合わせると「把握していません」(政策評価広報課)と回答したが、あっけなく了承したのであれば、野田聖子のセクハラ問題視発言もしょせんはポーズだったということだ。