森友学園への国有地売却をめぐり、財務省の決裁文書に「書き換えがあった疑いがある」と朝日新聞などが報じた問題で、財務省は「書き換え」があった事実を認める方針を固めた。3月10日、時事ドットコムなどが報じた。
共同通信は「複数の政府関係者」からの情報として、財務省の調査で「当初の記述を削除した例が複数判明した」と伝えた。
財務省は、書き換え疑惑の調査結果を3月12日に公表する予定。関与した近畿財務局の担当職員や本省幹部らの懲戒処分は、今後検討する方針だという。
森友学園への国有地売却をめぐっては、2017年2月に売却額や取得の経緯が疑問視され、問題に。国が不当に安い価格で国有地を売却したとする背任容疑などで、大阪地検特捜部が捜査を進めている。
当時、財務省の理財局長だった佐川宣寿・前国税庁長官は国会で「価格を提示したこともないし、先方からいくらで買いたいと希望があったこともない」などと、森友学園と事前に価格交渉はしていないと答弁していた。
ところが3月2日、森友学園をめぐる問題は大きく急転した。
この日、朝日新聞は朝刊で、財務省の決裁文書が「書き換えられた疑いがある」と報道。契約当時の決裁文書に「学園の提案に応じて鑑定評価を行い」「価格提示を行う」などの記載があったと伝えた。
3月8日には毎日新聞が「別の決裁文書」にも「学園に価格提示を行う」といった文言が含まれていたと報道。
3月9日、森友学園との国有地取引をめぐる担当部署に所属していた近畿財務局の男性職員が自殺していたと報じられた。
佐川は同日、「決裁文書の話が国会で大変大きな議論になっており、提出時の担当局長だったので責任を感じ」たとして、国税庁長官を辞任した。
財務省側の説明をめぐり、これまで国会は与野党対立の膠着状態が続いていたが、財務省が「書き換え」を認めることを受けて、野党側はさらに攻勢を強めるものとみられる。週明けの国会は大荒れになりそうだ。