稲田朋美の国会答弁は「虚偽」だったということだ。小野寺五典は2018年4月2日、政府がこれまで国会議員らに「存在しない」と説明していた陸上自衛隊のイラク派遣の日報の存在が確認されたことを明らかにした。
見つかったのは、2004~2006年の派遣期間中に作成された計約1万4000ページ。昨年の南スーダン国連平和維持活動(PKO)日報の隠蔽問題を受けて調査した結果、陸上幕僚監部衛生部などで保存されていたことが確認された。
日報は現地の情勢はもちろん、当時の陸自の動きなどを詳細に記した重要な“公文書”だ。この日報について、2017年2月の衆院予算委で、民進党の後藤祐一(現希望)が南スーダンPKO日報問題の関連で「イラクの派遣のときの日報が残っているかどうか」と質問。
これに対し、答弁に立った稲田朋美は「お尋ねのイラク特措法に基づく活動の日報については、南スーダンPKOと同様の現地情勢や自衛隊の活動内容を記録した現地部隊の日報については、確認をいたしましたが、見つけることはできませんでした」とキッパリ言い切っていたのだ。
小野寺は「可能な限り捜したが、その時点では確認できず、不存在と回答していた」と説明し、稲田朋美答弁に問題ナシみたいな口ぶりだったが冗談じゃない。これが許されるのであれば、都合の悪い資料はとりあえず「見つからない」と言ってシラを切り、ほとぼりが冷めた頃に「ありました」というインチキ答弁が続出しかねない。国会質疑は成り立たず、答弁内容そのものの信用性も失われてしまうだろう。
不思議なのはなぜ、このタイミングでイラク派遣の日報発見が公表されたのかということだ。
実は小野寺は、もうひとつ「重要」な内容に触れている。共産党の穀田恵二が衆院外務委で指摘した、防衛省の内部文書をめぐる改ざん疑惑だ。統合幕僚監部が2012年7月に作成した文書で、小野寺は同じ表題の文書が2つ見つかったと公表したのだ。小野寺は改ざんの意図は否定していたが、どうにも怪しい。
「共産党が指摘した通りの同じ表題の2つの文書が見つかり、財務省に続いて防衛省でも……となれば政権はグダグダ。そこで、改ざん疑惑を打ち消すために『イラク日報が出てきた』と明かしたのではないか」(防衛省担当記者)
要するに今も防衛省の「隠蔽体質」は変わっていないということだ。