財務省が12日公表した学校法人「森友学園」への国有地売却の決裁文書書き換え問題に関する調査報告書によると、書き換えや削除などの改ざんが行われた項目は文書14件で200超に及ぶ。安倍晋三の安倍昭恵や国会議員の名前が消され、学園側との価格交渉に関する記述が削除されており、野党からは「隠蔽だ」との批判が出ている。
改ざんされたのは、学園への土地貸し付け契約の際に作成した「貸付決議書」や、その後の土地売却手続きを記録した「売払決議書」など。学園からの「要請」という文言が「申し出」に差し替えられたり、本件の契約が「特例的な内容となる」との記述が削除されたりしていた。
過去の経緯をまとめたページも大幅に圧縮。安倍昭恵が学園関係者に「いい土地ですから、前に進めてください」と語ったとの学園側の説明がなくなったほか、鴻池祥肇、平沼赳夫、鳩山邦夫(故人)、北川イッセイの実名が消されていた。近畿財務局が学園側と「価格を協議した」との記述も省かれた。
学園への破格の値引きが表面化したのは昨年2月中旬。改ざんは同月下旬から始まった。当時の佐川宣寿は国会答弁で、「政治家の関与は一切ない」と述べ、学園側との価格交渉も否定していた。
財務省の富山一成は12日の野党会合で「国会答弁との関係で誤解を生じないように書き換えたのではないか」と説明。つじつまを合わせるため、文書を改ざんした疑いは残る。
財務省は、職員からの聞き取り、職場のパソコンに残っていたデータの精査などを行ったほか、捜査中の大阪地検からも保管する文書の写しの提供を受けた。その結果、内容の異なる文書が複数存在することを確認した。