佐川宣寿の証人喚問が実現しそうだ。
2018年3月14日、自民党の二階が立憲民主党の福山と電話会談し、「国会審議を通じて佐川宣寿の招致の必要性があれば検討する」と伝えた。衆参両院の予算委に野党が出席して、改ざん問題に関する集中審議を行った上で、佐川宣寿の国会招致を全会一致で議決する方針を確認。2018年3月16日にも国会が正常化する見通しだ。
これまでかたくなに拒んでいた佐川宣寿の証人喚問を与党が突然、認めたのは、審議拒否を続けている野党を復帰させるためだ。来年度予算案はこのままでも自然成立するが、日切れの関連法案などを年度内に成立させる必要がある。衆院通過のリミットが20日前後だから、このタイミングで証人喚問というカードを切った。
だが、佐川宣寿の喚問で真実が明らかになることは絶対にない。何を聞かれても、「捜査中のためお答えできない」「刑事訴追の恐れがあるので、証言を控えさせていただく」で押し通すことは目に見えている。
「官邸も、理財局長時代に『交渉記録は廃棄した』『事前の価格交渉はしていない』の一辺倒で国会審議を乗り切った佐川宣寿の答弁能力を信頼しています。ボロが出ることはないと安心しているからこそ、証人喚問を認めたのです。何を言い出すかわからない安倍昭恵は絶対に出しません。佐川宣寿の証人喚問は来週になりそうですが、念のため、今週中に改ざん問題でも大阪地検に事情聴取させることも検討しているようです。聴取がニュースで報じられれば、証言を拒否することへの反感も減るでしょうからね」(自民党関係者)
さらに、証人喚問で佐川宣寿が「すべて私の判断でやった」「財務省内の問題であり、官邸は関知していない」と言い切れば、むしろ野党は攻め手を失うというのが、政権サイドが描いているシナリオだという。すべての責任を佐川宣寿に押し付けるつもりなのだ。
政治ジャーナリストの角谷浩一が言う。
「野党が佐川宣寿の証人喚問を国会審議に応じる条件にしたのは作戦ミスではないか。野党が人選を主導する第三者委員会を設置した上で、佐川宣寿を招致することを考えるべきでした。証人喚問では佐川宣寿から核心を突く証言を引き出すことはできないでしょう。与党の戦略にハマってしまう。このタイミングでオウム事件の死刑囚7人を東京拘置所から他の拘置所へ移送したのも、森友問題のニュースの扱いを小さくするためだといわれている。この政権は本当にしたたかです」
だが、アリバイ的に佐川宣寿の喚問をやれば世論が納得すると思っているなら、甘すぎる。佐川宣寿カードを切れば、次は安倍昭恵への喚問要求が高まるだけだ。
官邸前では連日、安倍晋三の退陣を要求する抗議デモが続いている。国民の怒りをナメないでもらいたい。