千葉県の高校生 長谷川亮太と、唐澤貴洋を巡る一連の炎上騒ぎは、2人の苗字をとって「ハセカラ騒動」と呼ばれています。また、長谷川亮太や唐澤貴洋にちょっかいをかけたりイタズラしたりするユーザーは、「ハセカラ民」や「恒心教徒」と呼ばれています。
2ちゃんねるの「なんでも実況J板」に、「八神太一」と名乗るユーザーがいました。「八神太一」は長年にわたり、誹謗中傷、犯罪自慢、虚言、他人に対する攻撃や挑発など、迷惑で悪質な書き込みを繰り返していたため、非常に嫌われておりました。そんなある日、掲示板上で煽られた彼は、自分の合格した大学の合格証を自らインターネット上に公開してしまいます。これをきっかけとして、日頃から彼の書き込みを不愉快に思っていたユーザー達により、彼の本名や住所など、個人情報が次々と特定されてしまいました。
長谷川亮太は特定された直後も、その状況を楽しんでいるような余裕の発言を繰り返し、「有名人になった」などとはしゃいでいました。しかし、過去の悪質な書き込みと自分の個人情報が紐づけられることの重大さに気づいた長谷川亮太は、自分の個人情報などを書かないよう、慌てて掲示板ユーザーに要請し始めます。それでも効果がないとみると、「インターネットの誹謗中傷対策に詳しい」と称する弁護士 唐澤貴洋に依頼し、法的措置をちらつかせ鎮火を試みます。
まさかの弁護士の登場に、長谷川亮太の本名などを書き込んでいた多くの掲示板ユーザーは震え上がりました。この時、長谷川亮太に対する反感こそさらに高まったものの、唐澤貴洋を逆恨みして攻撃するような者はほとんどいませんでした。むしろ、自業自得で炎上したクソガキの弁護をしなければならない唐澤貴洋はかわいそうだとか、仕事のひとつとして真摯に対応していて立派だという意見さえみられました。
しかし、唐澤貴洋の過去の職務上の不手際や、非常識な言動が次々に発見され、だんだんと彼の弁護士としての能力や人間性に疑問符がつくようになります。そのうえ、唐澤貴洋のとった法的措置(IP開示請求)には実際にはほとんど意味がなく、こけおどしにすぎない、という見解がユーザー間で多数を占めるようになります。
こうして、掲示板上には唐澤貴洋を小馬鹿にする書き込みや、唐澤貴洋を「無能弁護士」などと評価する書き込みが目立つようになっていきました。
この時点で、唐澤貴洋の受けた被害といえば「ひょんなことから掲示板ユーザーに注目され、茶化されたり馬鹿にされた」だけでした。このような炎上騒ぎはインターネット上ではままあることですが、たいていは黙っていれば自然に鎮火し、忘れ去られていくものです。
しかし、プライドを大いに傷つけられた唐澤貴洋は、掲示板ユーザーからの悪口や茶化し、さらには純粋な批判にさえ、いちいち過剰反応してしまいました。特に、自らに対する書き込み223件に片っ端から法的措置(IP開示請求)をとったことが有名です。このとき法的措置をとられた書き込みの中には、「うんこたれ弁護士」などの小学生レベルの悪口や、「唐澤貴洋さんを犯罪者呼ばわりするのはやめようよ」などの擁護意見すら含まれていました。これで、掲示板ユーザーの唐澤貴洋への心証は決定的に悪化してしましました。
その後、唐澤貴洋は突如Twitterでポエム(空は何色か)を披露したり、Facebookで演説(愛なき時代に愛を。)を始めたりします。これらの発言は、掲示板の一般ユーザーの目には「奇行」と映り、面白がられたり、ふざけて真似されたりしました。このように、茶化せば茶化すほど面白い反応が返ってきたことで、掲示板ユーザーは「唐澤貴洋をもっと馬鹿にして、もっと面白い反応を見たい」という風潮を加速させていきます。
唐澤貴洋の反応を引き出すために、茶化し・嫌がらせはエスカレートし続け、唐澤貴洋は「インターネット上の玩具」のような扱いになってしまいます。こういったインターネット上の空気に乗せられて、半ば冗談のつもりで唐澤貴洋への殺害予告をする者まで現れてしまいます。
その一方で、唐澤貴洋の出自や過去の弁護活動が詳しく調べ上げられ、研究考察の対象となってしまいました。様々な事実が明るみに出るにつれ、唐澤貴洋には「悪徳弁護士」のレッテルが貼られ、また上流階級の世間知らずなお坊ちゃまであるとみなされてしまいました。このことは、唐澤貴洋への攻撃をエスカレートさせる材料となりました。
一方、騒動の発端である長谷川亮太はその後どうなったのでしょうか?自己顕示欲の強かった長谷川亮太ですが、特定されて以降は、これ以上火に油を注がないよう沈黙を保ち続けていました。しかし、唐澤貴洋がいつまでも「面白い反応」を続けたせいで騒動は鎮火することなく、長谷川亮太への誹謗中傷・嫌がらせも止むことなく延々と続いてしまいました。
このことから、唐澤貴洋はインターネット上の誹謗中傷を解決するどころか、唐澤貴洋のせいで炎上規模が拡大し、騒動が長期化してしまった、との見方さえあります。
こうして騒動が長期化した結果、唐澤貴洋と長谷川亮太は、「2ちゃんねる」だけでなく「Twitter」や「ニコニコ動画」など、インターネット上の他のコミュニティでも次第に知名度を上げていきます。その結果、当初の掲示板ユーザーだけでなく、この騒動を面白がって他のサイトから集まってきた多くのインターネットユーザーが騒動に仲間入りするようになります。
良くも悪くも、多様なユーザーが集結してしまったことにより、次々に新しい茶化し方・嫌がらせが考案され、実行に移されていきます。訴求力のあるコンテンツは騒動をさらに広め、インターネットユーザーをさらに呼び寄せます。こうして騒動はひとり歩きし、「自給自足」の時代に突入します。ここまで膨れ上がると、もはや誰にも鎮火できません。長谷川亮太と唐澤貴洋への茶化し・いじり・嫌がらせは「不謹慎で面白いインターネットコンテンツ」の一種と化してしまったのです。
例えば、
こうして「インターネットに強い弁護士」唐澤貴洋は、日本のインターネット史上、類を見ない規模の炎上の爆心地になってしまいました。
この「ハセカラ騒動」は、今日も続いています。