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国家公務員

「夢がないな」
    ~ 国家公務員 について、宇多田ヒカル

国家公務員(こっかこうむいん)とは、国の行政機関その他に勤務する公務員のことである。本稿では日本の国家公務員に絞って記述する。

区分

国家公務員は以下のように分類される。

このように2つに大別されるが、人数は一般職が圧倒的である。また特別職の中では3番目の国防に携わる者が多い。政治家と組織のオエライさんはごく一握りである。ここではそういうマイノリティは無視する。

任命

一般職の公務員は採用試験によって採用し任命される。大卒程度とされるII種公務員であってもその試験は一筋縄ではいかず、I種ともなると東大生が1年も2年も必死こいて勉強しなければなかなか合格できない狭き門である。東京リーガルマインドやTACなどの予備校に通って試験勉強する者が多く、まわりの大学生がサークルやら旅行やら合コンやらやっているときも大学受験以上の過酷な生活を送っていることが少なくない。むろん金銭的支出も馬鹿にならない。

司法公務員になるなら、さらにハードな生活を強いられ、大学入学と同時に、あるいはその前から猛勉強する者が大半である。また大学を卒業しても希望の職に就くことができない者が多数いる。

職務

国家公務員は国の行政に携わるため、その職責は極めて重大である。ハンターハンターによると、虫と人間は全く相入れないものである。アリやハチは、女王や王を守るために他の全てが自分の役割を守って命を懸けて頑張っているのに対し、人間は、強欲で、ワガママで、自分勝手で、楽をしたがり、自己主張が強い。そんな人間をムシのようにコントロールするための、すんばらしい知恵を求められている。

特に日本の政治は事実上は国家公務員によって運営されているといっても過言ではない。国家公務員が策定し大臣秘書官が印鑑を押すだけで制定される省令は、日本全土に亘って強い効力を有する。国家公務員の行った施策に誤りがあればその影響は計り知れず、国民の厳しい非難に晒されるのである。

具体例を挙げれば、国際機関との連携、領土の確定、大規模公共施設の建造など国策にかかわることから、年金制度の確立と運用、医療制度の整備、失業対策など生活に大きく関わるものまで多彩である。どんな悪者や弱者であっても、自殺や孤独死をさせてはならないのである。例えどれだけ他者が犠牲になろうとも。

若い女性を集めてきゃあきゃあやる番組を作っていればよい日本テレビや、運転士を苛めていれば一日が終わる西日本旅客鉄道などと比べて、どちらが崇高で重要な仕事をしているかは一目瞭然といえよう。

待遇

そんな国家公務員ではあるが、待遇は特別いいわけではない。ただ、税金を流用して共済年金に形を変えておくことで、老後の保障がなされている。

給与は中企業における平均賃金を支払うこととされるが、東大を出た優等生がこの水準である。彼らの同窓生はトヨタ自動車や朝日新聞社や日本航空やらでしこたま稼ぐことになるから、同じ大学出でもその経済水準たるや雲泥の差である。更に、国家公務員試験は医師・弁護士・公認会計士の国家試験と同等以上の難易度にもかかわらず、試験合格後の社会的地位はこの三者より格下だ。マスコミの報道を見れば一目瞭然である。また国家公務員はボーナスも少ない。

昨今では国家公務員への風当たりが強く、公務員改革と称してその待遇が年々悪化しており、主要な地方自治体よりも低い給与水準にまで落ち込んでいる。この傾向は今後も続くと思われる。

また公務員は日本国憲法第15条で言うところの「全体の奉仕者」であるから、特定の者の利益になることは一切禁じられる。この縛りはなかなか強く、お中元やお歳暮を受け取ることは禁止、どこかの気前のいい社長さんと飲んでも必ず割り勘、など日常生活でも不利な面が生じている。

司法公務員は金品の授受に対してとくに厳しい。弁護士が毎年方々から贈り物を貰うのとは対照的である。また弁護士が30分5千円などという風俗店かと思われるような高額の相談料で稼いでいる一方で、検察官や裁判所職員はやはり薄給である。

だが公務員は都心でも安い官舎に住めるじゃないか、と言う者もいる。しかしこうした官舎は築30年以上で改修されていない木造1Kといったことも少なくない。

ある国家公務員の一日

国家公務員の人生

国家公務員は薄給のもとで働かされているが、実はお金にそれほど苦労しない。なぜなら遊ぶ時間がないからである。土日もスーツでいるから、服飾費もあまり使わない。家にいる時間が短いから水道光熱費も少額である。

サービス残業が多く、残業時間は月間200時間を超えることも珍しくない。それでも一生で見れば、他の職業に比べて勤務時間が突出して長いわけでもない。50代になると天下りするからである。だが、天下りは決してオイシイ話ではない。出世争いから外れた者がひとり、またひとりと肩を叩かれる悲しい伝統なのだ。天下った先で儲ける者もいないわけではないが、全体から見ればごくごく僅かである。

とはいえ老後が心配である。今後はさらに給与が減額されるし、貯蓄も難しくなってくる。30年後、生活保護受給世帯の3分の1は元公務員という日が来るかもしれない。

だがあるいはそれも杞憂に終わるかもしれない。日々ストレスを抱え、休みもなく働き続ける国家公務員は、必ず体にガタが来ているはずだ。20年以上に及ぶ老後生活を心配しても、退職後にそれほど生きられないことだろう。合掌。

脚注

関連項目


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