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「逮捕者出かねない」…森友改竄、『地検vs財務省』『官邸vs法務・地検』の暗闘

学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書改竄(かいざん)問題で、大阪地検特捜部の動きが注目されている。野党による追及・攻撃が激化するなか、永田町では「特捜部が、財務省への本格捜査に着手すれば、複数の逮捕者が出かねない」との観測が広がっているのだ。指摘される「地検vs財務省」「官邸vs法務・地検」の暗闘。佐川宣寿は来週にも行われる証人喚問で、「改竄の目的・背景」などを、どこまで暴露するのか。

参院予算委員会は2018年3月20日午前、麻生太郎らが出席して一般質疑を行った。民主主義の根幹を揺るがせた決裁文書改竄問題について、激しい論戦が交わされた。

佐川宣寿から、改竄を指示されたという認識だった」

財務省理財局の調査に対し、職員の多くがこう話しているという。フジテレビが2018年3月19日報じた。

政府はこれまで、佐川宣寿を責任者として、財務省理財局の一部職員が改竄に関与したと説明してきた。職員らの回答が事実とすれば、「佐川宣寿が自身の国会答弁との整合性を図るために、改竄を指示した」という構図が浮かび上がってくる。

今後の焦点は、「改竄の背景」「政治家を含む、理財局以上の関与」「忖度(そんたく)の有無」などだ。

フジテレビは、政府関係者の話として、弁護士などによるサポートを前提に、佐川宣寿に改竄の指示を認めさせたいという財務省の意向も伝えた。

これに対し、佐川宣寿は刑事訴追を恐れて、自らの指示を認めることに難色を示しているという。

佐川宣寿の慎重姿勢は、2018年3月19日の参院予算委員会の集中審議でも明らかになった。

財務省の太田充は、福田淳一の聴取に対し、佐川宣寿が「(当時の)担当局長なので、責任は感じている。どのように関与したかは、刑事訴追の可能性もあるので、差し控えたい」と答えたことを明らかにした。

同省を所管する麻生太郎は「(佐川宣寿の責任は)極めて大きかった。今の段階では、最終責任者になる可能性が大きい」と述べた。

証人喚問の時期も焦点だ。

野党は2018年3月19日夕の参院予算委理事会で、「佐川宣寿本人に聞かないと分からないことばかりだ」として、証人喚問を強く要求した。この日は議決に至らず、自民、公明両党は2018年3月20日、幹部が協議して調整する。2018年3月26日以降に実施することになりそうだ。

佐川宣寿が国会で説明する内容次第では、大阪地検特捜部の動きが加速する可能性もある。

永田町では「佐川宣寿の国会招致が終わった時点で、特捜部が佐川宣寿の事情聴取と、財務省本省への家宅捜索に踏み切るのではないか」との情報が流れ、刑事事件に発展するとの見方が強まっている。

改竄問題をめぐっては、近畿財務局の男性職員が自殺しており、捜査当局としては、新たな犠牲者が出ることも、絶対に防がなくてはならない。

今後の展開はどうなるか。佐川宣寿らの逮捕は、あり得るのか。

東京、大阪地検特捜部の動向に詳しい司法ジャーナリストの鷲見一雄は「検察が、起訴を前提とした本格捜査に着手することは、間違いないだろう。民主主義の根幹を揺るがす不正を放置したり、中途半端なかたちで幕引きしたりすれば、国民の激しい批判を招き、検察の存在意義にかかわる」と語った。

逮捕も含む、強制捜査があり得るとの見方だ。

永田町では、朝日新聞のスクープについて、検察周辺がネタ元との見方が強まっている。一連の背景に、森友問題をめぐる「地検vs財務省」の暗闘や、検察人事をめぐる「官邸vs法務・地検」の対立があるのか。

自民党のベテラン議員も「ここまで世論が沸騰すれば、検察も後には引けない。複数の財務省職員が身柄を拘束される事態は、あり得る」と推測し、次のように危機感をあらわにした。

「地元の支持者から寄せられるのは、『安倍晋三麻生太郎の説明は納得できない』という厳しい声ばかりだ。政治家の関与を示す新たな疑惑が出てくれば、政権維持が厳しくなる」


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