にわかに“解散風”が吹き始めた。森友問題や加計学園問題で進退窮まった安倍晋三が、疑惑をリセットするために衆議院を解散するのではないかというのだ。
自民党の森山が2018年4月25日、野党が内閣不信任案の提出を示唆していることについて聞かれ、「出されれば、解散も内閣のひとつの選択肢」と解散・総選挙の可能性に言及した。
この日、官邸で鈴木宗男と面会した安倍晋三も、「あらゆる選択肢、あらゆる行動なども頭に入れながら、政治の停滞がないように、しっかり取り組んでいきたい」と話したという。面会後に鈴木宗男が明らかにした。その後、安倍晋三が二階俊博とも官邸で会談したことで、解散の臆測が一気に広がった。
こうした流れを受け、安倍晋三は2018年4月26日の衆院予算委員会集中審議で、「解散総選挙については、私の頭の中には全くありません」と言及したが、本当のところはどうなのか。
「『あらゆる選択肢』の中には当然、解散も含まれる。かつて黒い霧事件で国会運営に支障を来した大叔父の佐藤栄作が、解散で局面を打破した例が念頭にあるのでしょう。安倍晋三は最近、『黒い霧解散』について書かれた本を取り寄せて読んでいます。この連休中には、自民党が選挙区情勢調査を行うという情報も流れています」(官邸関係者)
だが、実際はとても解散なんて打てる状況ではない。与党内でも「ブラフだろう」との声が大半を占め、誰も本気にしていない。
「今、解散したら、自民党は30~50議席減らす」(自民党選対幹部)
「執行部の世代交代を進めようとしている最中なので、解散・総選挙は絶対に了承できないと伝えてある」(公明党選対関係者)
野党6党が審議拒否を続ける国会は、正常化の見通しがまったく立っていない。麻生太郎の辞任や柳瀬唯夫の証人喚問など、野党側の要求を与党がことごとく突っぱねているからだ。連休をまたいでも、我慢比べは続くとみられる。
このタイミングで解散話が流されているのが、野党に揺さぶりをかける狙いなのは明らか。ヒョウタンから駒でハプニング解散になる可能性もゼロではないが、やれるものならやってみろ、だ。国民は大歓迎で、自民が議席を減らすのは確実だし、疑惑のリセットは世論が許さない。
できもしない解散をチラつかせるほかに手がないほど、安倍晋三政権は追い詰められているということだ。