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政権直撃 森友文書改竄 崩れた「最強官庁」のお粗末な仕事ぶり

学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却をめぐり財務省が2018年3月12日に公表した決裁文書の改竄(かいざん)は14件、計約300カ所に及んだ。安倍晋三内閣の支持率が第2次政権後で最低を記録する世論調査結果も出るなど、政権を揺るがす事態となっている。発端となった改竄文書を読むと、財務省、近畿財務局のあきれた隠蔽体質や事実誤認、誤字が散見され、「最強官庁」の称号に似つかわしくないお粗末な仕事ぶりが浮かび上がる。

佐川宣寿は知っていたと認識している」。2018年3月16日の参院予算委員会で、財務省の太田充は苦渋の表情でこう述べ、改竄が組織ぐるみだったことを示唆した。改竄したのは国有地を小学校用地とする貸付決議書や売払決議書、特例承認の決裁文書などで、2017年2月下旬から同4月にかけて行われた。

改竄は主に「価格交渉」に関する経緯が記されたり、政治家の名前が挙がったりしている部分だった。2017年の国会で理財局長として答弁した佐川宣寿が「価格交渉はない」と述べており、整合性をとるために改竄したとみられているが、詳しい動機や背景は明らかになっていない。

ただ、改竄に手を染めた財務省の“完全犯罪”は成立しなかった。財務省が大阪地検特捜部に提出したパソコンを電子鑑識すると残されたデータが復元され、改竄が判明したからだ。パソコンサーバーのデータを消去、上書きしてもデータ自体はハードディスクに残ることが多く、復元が可能だという。

刑事事件などの捜査におけるデータ復元は、2012年のオリンパス損失隠し事件や2013年の徳洲会グループの選挙違反事件など多くの事件でも活用されたとされる。こうした事実を知らず、改竄を最後まで隠し通せると考えて財務省が指示・実行していたとすれば、あまりに思慮が浅い。

お粗末ぶりはそれだけではない。改竄前の文書はミスの連続だった。その一つが特例承認の決裁文書「普通財産の貸付けに係る特例処理について」(2015年4月30日)に記された学園の概要を説明している部分だ。

「同氏(森友学園の籠池泰典)は『日本会議大阪代表・運営委員』を始めとする諸団体に関与している」

同決裁文書にはこう記されていたが、保守系の民間団体「日本会議」のホームページによると、「籠池泰典は2011年に自ら退会を申し出ている。関係は消滅している」という。日本会議は2018年3月13日付で「事実と異なり極めて遺憾である。学校設立や国有地払い下げ交渉について便宜を図るなどの一切の関与がない」との見解を公表した。

森友学園を訪問した国会議員の紹介では、上西小百合(当時)を「上田小百合」としていた。助詞の間違いなど、日本語の能力を疑わせる部分もあった。

ある政府関係者は「削除された経緯の部分などは文書の本筋とは関係ないものだ。現場の近畿財務局としては多くの情報を詰め込みたかったのかもしれないが、そもそもそこまで詳しく書く必要はなかったのに」と嘆息した。

文書の内容以外でも、財務省には首をかしげたくなる行動がある。国土交通省が2018年3月5日に改竄の可能性があることを伝達していたにもかかわらず、麻生太郎への報告は2018年3月11日だった。詳細を確認中だったとしても「改竄の疑い」があったことの一報が担当閣僚にさえ伝わっていなかったのだ。2018年3月8日に行った国会への報告では「ゼロ回答」で、2018年3月19日には削除した文書がさらに1件あったことが判明した。

こうした改竄の具体的な指示者や動機はいまだに明確になっていない。佐川宣寿への証人喚問は2018年3月27日、衆参両院の予算委員会でそれぞれ行われる。財務省がどこまで自浄能力を発揮するか、そして安倍晋三がどこまで信頼回復に努めるのか。同省の決裁文書改竄発覚で森友学園の問題に国民の厳しい視線が注がれている。

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