まるっきりフェイクじゃないか――。2018年3月29日の参院財政金融委で米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP11)について、麻生太郎が「森友問題の方がTPP11より重大だと考えているのが日本の新聞のレベル」と言い放った。オドロキなのは、その答弁が事実誤認だらけだったことだ。
「TPP11というのは日本の指導力で締結された」「茂木(敏充経済再生相)が0泊4日でペルーを往復していたが、日本の新聞には1行も載っていなかった」「日本の新聞のレベルはこんなもんだな」
麻生太郎は臆面なく答弁したが、まずTPP11はまだ「締結」されていない。茂木が2018年3月8日のTPP署名式に出席した場所も南米ペルーではなく、隣国チリの首都・サンティアゴだ。最近は漢字に限らず、モノ覚えが悪いようだ。
あたかも日本の新聞がこの署名式をまったく報じていないかのように答弁していたが、コレも真っ赤なウソ。朝日新聞は2018年3月10日付で1行どころか4段組みでデカデカと報道。毎日新聞、読売新聞なども詳報した。TPP加盟各国の新聞(電子版)も確認したが、日本の扱いの大きさは他国と引けを取らないのだ。
■「日本の大臣のレベル」を露呈 デタラメばかりでもドーカツまがいの答弁をすれば、メディアが萎縮し財務省の文書改ざんや森友問題の報道を矮小化できるとでも思っているのか。ジャーナリストの斎藤貴男がこう言う。
「『盗っ人猛々しい』とはまさにこのこと。そもそも、TPPを進める政権の正当性が今問われているのだから、優先して扱うべきは森友問題です。行政の信頼を失わせた連中がTPPなんて大それたことを推し進めようとしていることが大間違い。民主主義をぶち壊しておきながら、経済連携を語る資格はありません。気に食わないことを反射的に罵倒するような議員は、職を辞すべきだと思います」