これで麻生太郎の辞任も必至だ。セクハラ疑惑が報じられ、日本中の女性を敵に回した財務省の福田淳一が2018年4月18日、辞意を表明した。これまで、報道は「事実と異なる」と疑惑を完全否定し、名誉毀損で提訴する準備をしているというコメントを発表するなど強気の姿勢だったのが、一転しての電撃辞任。更迭論を退け、かばい続けた麻生太郎も無傷ではいられない。
「職責を果たすのが困難な状況になっている」
福田は辞任の理由をこう説明した。セクハラ暴言の音声データまで公開され、その後の「被害者は名乗り出ろ」という財務省のフザケた対応にも批判が殺到。
財務省の記者クラブが珍しく協力要請を拒否し、抗議文を提出する事態になっていた。辞任は遅すぎるくらいだ。
「辞任の流れを決めたのは二階俊博です。麻生太郎は夏の定例人事まで続投させるつもりでしたが、2018年4月18日朝の自民・公明の幹部会合で、二階俊博が『福田は自ら早くけじめをつけてもらいたい』と激怒していたという話が伝わり、財務省側も観念した。内閣支持率の下落で、党の発言力が強まり、二階俊博の意思で物事が動くようになっている。官邸サイドが拒んでいた佐川宣寿の証人喚問も、二階俊博の鶴の一声で決まりましたからね」(財務省関係者)
最強官庁の財務省で次官が任期途中で辞めるのは、1998年の大蔵省接待汚職以来のこと。ノーパンしゃぶしゃぶの次がセクハラ辞任では目も当てられない。
当面は矢野康治が次官を兼任するというが、財務省では、文書改ざんで佐川宣寿が2018年3月に辞めたばかり。国税庁も次長が長官を代行していて、トップ2人が不在という異常事態だ。
「当然、麻生太郎の監督責任は避けられません。福田も佐川宣寿も人格が破綻しているとしか思えず、自分の保身のために、こんなイカれた人物を擁護してきた麻生太郎の責任は重大です。即刻、辞任するしかない。しかも、こんな混乱を招いておいて、2018年4月19日からのG20出席のために訪米するという無神経も信じられません。『セクハラ次官を擁護した女性蔑視大臣』と海外でも報道されているのに、どのツラ下げて国際会議に出られるのか。日本の恥です」(政治評論家・森田実)
そんな中、福田に引導を渡して麻生太郎の防波堤を決壊させた二階俊博が2018年4月18日の夜に出席した会合が話題になっている。赤坂の料亭で小泉純一郎、山崎拓元、武部勤、東京都の小池百合子と会談したのだ。
「2017年4月18日にも同じメンバーで会食し、その際は、偶然を装って同じ店にいた安倍晋三とも会話をした。しかし、今回は安倍晋三が訪米で日本を留守にしているタイミング。小泉純一郎は最近、『総裁3選は無理だ』とバッサリだし、ヤマタクも“反安倍晋三”の立場を鮮明にしている。そこへ二階俊博が加わり、安倍晋三の不在中に『安倍晋三降ろし』について話し合われたのではないかとみられています」(自民党関係者)
小泉純一郎は「週刊朝日」のインタビューで「安倍晋三の引き際、今国会が終わるころじゃないか」と話していた。財務次官の辞任で、今後は麻生太郎への辞任圧力も高まってくる。
「財務次官の辞任が政権退陣の引き金です。麻生太郎が辞めれば、安倍晋三政権は持たない。総辞職しかありません」(森田実)
不在にしている間に張られていく包囲網――。帰国したら、政治の景色は一変しているかもしれない。訪米中の安倍晋三は気が気じゃないはずだ。