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森友問題、安倍晋三を直撃 国会審議瀬戸際

毎日新聞の2018年3月17、18両日の全国世論調査で安倍晋三内閣の支持率は33%に急落した。共同通信など他社の調査も同様の傾向を示し、政府・与党の危機感は強い。これまで支持率の「復元力」で政権を維持してきた安倍晋三だが、学校法人「森友学園」の問題は首相自身を直撃している。国会で十分に説明できなければ、秋の自民党総裁選の行方は一気に不透明になる。

「とても残念だ。深刻に受け止めている。信頼を回復するには、国民が納得できるような調査結果を麻生太郎が出すことだ」。野田聖子は、支持率急落の最大の要因とみられている財務省の文書改ざん問題への明確な説明が必要だと強調した。

公明党の山口那津男は「決裁文書の書き換え問題が影響していることは明らかだ」と指摘したうえで、「厳しい結果で、政府・与党は真摯(しんし)に受け止め、誠実に対応していかなければならない」と語り、国民への説明に尽力する必要があるとの認識を示した。

安倍晋三官邸の幹部は「大変だ。財務省がなぜ隠したのか昨年の段階で本当の事を全て明らかにすべきだった」と漏らした。

安倍晋三は第2次政権発足時から政権を支えてきた麻生太郎を守る姿勢を崩していないが、今回の調査で麻生太郎は「辞任すべきだ」と答えた人は54%と過半数だった。

責任の所在については、安倍晋三に「責任がある」との回答が68%に上っており、文書改ざんは財務省の問題にとどまらず、安倍晋三を直撃する問題であることが数字でも裏付けられた形だ。

当面は2018年3月19日の参院予算委員会の集中審議や国有財産管理の担当局長だった佐川宣寿の証人喚問などを通じて、どこまで問題の核心が明らかになるかが焦点となる。

 財務省はこれまでの審議で、改ざん事実について、佐川宣寿は「知っていた」と説明した。また、「政府全体の答弁は気にしていた」と安倍晋三の答弁などが影響を及ぼした可能性を否定しなかった。

決裁文書の改ざんは誰の指示で、なぜ起きたかについて、新たな説明がなければ、政府はさらに厳しい立場に追い込まれることになりそうだ。

一方、野党側は森友学園の籠池泰典夫妻と親交があった安倍晋三安倍昭恵の国会への招致を求める姿勢を強めている。毎日新聞の調査で、安倍昭恵を国会に「招致すべきだ」と答えたのは63%と、安倍昭恵の説明に国民が高い関心を持っていることが浮き彫りになった。安倍晋三は、自身や安倍昭恵が森友学園への国有地売却に関与した疑惑を否定しているが、希望の党の玉木雄一郎は「(支持率低下は)国民の不信感の表れだ。佐川宣寿だけではなく安倍昭恵の証人喚問が必要というのも国民の声だ」と語った。

立憲民主党の福山哲郎は2018年3月18日のフジテレビの番組で安倍昭恵については「秘書(安倍昭恵付政府職員)が財務省に問い合わせまでしていた。(前理事長の)籠池泰典との証言が食い違っているので、国会に出てくれば国民の疑惑が晴れるのではないか」と述べ、安倍昭恵の国会招致を求めた。福山は、学園側との土地売買交渉時に財務省理財局長だった迫田英典の証人喚問が必要とも主張。同番組で共産党の小池晃は、安倍昭恵付だった政府職員の招致も求めた。

支持率反転の材料なく

安倍晋三内閣の支持率が不支持率を下回った例は過去にもある。2017年6月調査では、学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題や、「共謀罪」法を巡る与党の強引な国会運営で支持率が10ポイント下落。自民党が惨敗した東京都議選をはさんで7月には26%まで落ち込んだ。集団的自衛権の行使を容認する安全保障法制に批判が高まった2015年7月から10月にかけても支持率は30%台で推移した。

ただ、いずれもその後に支持率は回復した。2017年の衆院選前に結成された希望の党が、当時代表だった小池百合子の不用意な言動であっけなく失速したように、野党の力不足に助けられた面はあるにせよ、安倍晋三内閣は一定の危機管理能力を発揮したといえる。

今回、ある程度の下落は政権内で織り込み済みだったとはいえ、2018年3月18日までの毎日新聞、朝日新聞、日本テレビなどの調査結果をみると、財務省が決裁文書14件の書き換えを国会に報告した2018年3月12日以降、政権への逆風が強まったことがわかる。自民党内では「これまで野党の自滅で目立たなかったが、安倍晋三政権はゆっくり下り坂だ。もう旬は過ぎた」という声も出始めた。

確かに、反転攻勢の材料は乏しい。安倍晋三が今国会で目玉にしようとした働き方改革関連法案は、厚生労働省の不適切なデータ比較が発覚し、経済界が期待していた裁量労働制の対象拡大をあきらめざるを得なくなった。法案は閣議決定すらできていない。

安倍晋三は2017年10月に衆院選に踏み切ったばかりで、局面打開のための解散も打ちにくい。自民党は依然、支持率で野党を大きくリードしており、同党のベテラン議員は「反省すべきは党ではなく安倍晋三だ」と安倍晋三の求心力低下を指摘する。

米国韓国北朝鮮との首脳会談に乗り出すのに合わせて、安倍晋三が日朝首脳会談を探るのではないかという観測もあるが、野党は「『困ったときの北朝鮮』は国民に見透かされる」(共産党幹部)と冷ややかだ。

麻生太郎を守ろうとするほど政権のダメージになる」(与党幹部)としても、安倍晋三は盟友の麻生太郎を簡単に辞任させられない。党内第2派閥の麻生太郎から安倍晋三に不満が出たら、総裁選での3選戦略に影響するためだ。しかし、総裁選を乗り切っても2019年は統一地方選と参院選が控える。党重鎮は「選挙がまずいという雰囲気になれば、党内に動きが出てくるだろう」と予測する。


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