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中国の宇宙実験室、大気圏再突入 メンツ重視、最後まで「制御不能」明言せず

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中国有人宇宙プロジェクト弁公室は2018年4月2日、中国が独自の有人宇宙ステーション建設に向けて打ち上げた初の無人宇宙実験室「天宮1号」が2018年4月2日午前8時15分(日本時間同9時15分)ごろ、南太平洋の上空で大気圏に再突入したと発表した。ほとんどすべての部品が再突入の際に燃え尽きたとしている。中国外務省の耿爽報道官は2018年4月2日の記者会見で、「地上への損害は現在確認されていない」と語った。

欧米の専門家らは、天宮1号が制御不能のまま大気圏に突入し、落下地点をコントロールできなかったと分析しているが、中国当局は最後まで制御の可否について明言しなかった。任務の成功を国内外にアピールし、メンツを保つ意図があるとみられる。

同弁公室は再突入直前の2018年4月2日朝の時点で、落下地点を南米ブラジル沖の大西洋付近と予測。一方、政府と宇宙事業を展開している非営利団体「エアロスペース・コーポレーション」は、南米大陸沖の南太平洋と予測していた。

オーストラリア国立大学の天体物理学者、ブラッド・タッカーは、再突入前に天宮1号が回転し不安定な状態になっていたとAP通信に指摘。また再突入後も総重量の1割前後が燃え残り、仏領ポリネシア・タヒチの北西約100キロの地点に落下したとの見方をロイター通信に示した。

中国当局は、天宮1号が大気圏に再突入した詳細な場所や、燃え残った部品が海面などに落下したかどうかについて明らかにしていない。

天宮1号は全長10.5メートル、打ち上げ時の重量は8.5トン。中国が2022年前後の完成を目指す宇宙ステーションの原型で、2011年に打ち上げられた。

中国は今年、人工衛星などの打ち上げを過去最多となる40回以上予定している。


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Last-modified: 2019-10-28 (月) 12:15:43