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北朝鮮が取材制限謝罪 “報道自由度”日本金正恩に抜かれる日

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「わが人民が南側の大衆芸術への理解を深め、心から歓呼している姿を見て、感動を禁じ得なかった」――。

2018年4月1日、北朝鮮の東平壌大劇場で行われたKポップグループなどの「韓国芸術団」の公演を大絶賛した金正恩。異様なハイテンションで大コーフンする姿は、つい1カ月前まで核ミサイル発射をチラつかせ、ドナルド・トランプから「リトル・ロケットマン」と揶揄されていた人物と同じとは思えなかった。だが、世界を驚かせたのはこれだけじゃない。

“事件”が起きたのは「韓国芸術団」のリハーサルの時だ。韓国の取材陣は、リハーサル後にいったん北側の案内で出演者の楽屋に移動。ところが、その後は、カメラと記者1人を除いて公演会場に戻ることが禁止になった。この対応に韓国政府は激怒し、南北連絡官接触を通じて北の取材制限について猛抗議したのだ。

いつもの北朝鮮であれば「南がイチャモンをつけてきた」などと例の調子で突っぱねるのだが、翌2日に北朝鮮の金英哲は、わざわざ報道陣の宿泊先だった「高麗ホテル」を訪れてこう言ったのだ。

「南側記者を北朝鮮に招待したからには、自由に取材活動や撮影ができるようにする義務が我々にはある」

「取材活動を制約して自由に撮影をできなくするのは間違っている。北朝鮮側当局を代表してこうしたことは間違っていたと謝罪したい」

ナント! 取材活動を制限したのは間違っていたと頭を下げたというのだ。しかも、金といえば、金正恩に軍事を指導した家庭教師であり、工作機関のトップとして延坪島砲撃事件や哨戒艦沈没事件を主導した人物。“北の軍師”とも呼ばれる幹部が韓国の記者に平身低頭で謝罪とはビックリではないか。

もちろん、韓国向けのパフォーマンスといえばそれまでだが、少なくとも「自由な取材活動の保障」が重要という認識はあるようだ。

一方の安倍晋三政権は締め付け強化

対照的に全く理解していないのが日本安倍晋三政権だ。国際NGO「国境なき記者団」の報道の自由度ランキングによると、民主党鳩山由紀夫政権の2010年は11位、野田政権の2012年は22位だったが、安倍晋三政権になった2013年には53位に後退し、2016年、2017年は72位となった。

特定秘密保護法や共謀罪など、表現の自由の規制強化に突き進み、国連報告者から「懸念」が示されても一蹴。記者会見では「知らぬ存ぜぬ」を繰り返して記者を恫喝したり、放送法の「政治的公平」を曲解してテレビ局にクレームを入れたり。取材活動の自由どころか、ギュウギュウと締め付けることに執着している。

報道の自由度ランキングで北朝鮮は180カ国の中で最下位だが、このままだと日本と順位が逆転する可能性も出てくるだろう。日本が「報道の自由」で北に“完敗”なんて考えただけでも恐ろしい。


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Last-modified: 2018-05-08 (火) 16:53:38