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神戸製鋼所

2017年 エクストリーム・謝罪に参戦

アルミニウムや銅の製品などの様々な分野で、強度などのデータを組織ぐるみで10年くらい前から改竄して約500社に出荷していたとして謝罪。

全世界に被害をあたえているほか、鉄鋼部門での不正はないと断言した翌日になって不正の事実を公表するなど、五月雨式の謝罪会見を1か月間で5回開き、「別件の調査結果だった」「隠していたのではない」「新たな不正の発覚は膿が出ている証拠」などと謎のポジティブさを発揮したコメントを次々に発表、顰蹙ポイントを加算している。

さらに日本工業規格の認証取り消しの動きなど、今後の展開によっては高ポイントの獲得が期待されている。

不祥事

政治的問題

1969年10月、東亜相互企業株式会社から、福島県西郷村小田倉の、馬場坂と黒森の両地区合わせて82万m²を購入した。市場地価は坪単価850円から2000円で、この価格で東亜相互企業も買収していたが、神戸製鋼に対する売値は坪あたり12000円という高値であった。警視庁が恐喝等の疑いで捜査するも、神戸製鋼側は「工業用地として買った」と言い張り、事件は立証されなかった。神戸製鋼の本社のある神戸の暴力団は、事件を知り大挙上京した。

大気汚染問題

橋梁談合事件

2005年(平成17年)発覚の橋梁談合事件に加わっていたことが判明している。

選挙資金の肩代わり

加古川・高砂両製鉄所と長府製造所が、加古川・高砂・下関各市の市議会議員計5人(現役社員3人、OB2人。いずれも労働組合が推薦)の後援会に対し、選挙事務所設営費や人件費などの選挙資金を肩代わりしていたことが発覚。政治資金規正法に違反する疑いがある。この事態を受け、当時の同社の水越浩士会長と犬伏泰夫社長が、2009年(平成21年)3月末を以って引責辞任することになった。

所得隠しの発覚

公害の発生

土壌汚染・地下水汚染の発生

ばね用鋼材の強度を改ざん

同社のグループ会社である神鋼鋼線ステンレスが、2007年4月から2016年5月にかけ製造したばね用の鋼材のうち、7,400トン中55.6トンについて、強度が日本工業規格を満たさないにもかかわらずJISマーク表示をしていたことが、2016年6月9日に明らかになった。

アルミ製品データ改ざん

2017年10月8日、アルミニウム、銅、鉄粉などに関し性能データの改竄や顧客に了解を得ない特採が常態化していたことが発覚した。製品は航空機、自動車、鉄道などで幅広く使用されており、三菱重工業、川崎重工業、IHI、SUBARUなどでデータが改竄された素材を使用した製品が販売されていたことが判明した。

影響は海外の取引先にも及び、2017年10月17日の世界鉄鋼協会年次総会でも話題となった。世界鉄鋼協会会長の進藤孝生は「データ改ざんが起きた原因や影響の分析が必要だ」とした。

この問題に関し、松井巖弁護士(元福岡高等検察庁検事長)を委員長とする外部調査委員会が設置され、その後社内品質ガバナンス再構築検討委員会や品質問題調査委員会における検討結果と併せて、2018年3月6日に「当社グループにおける不適切行為に関する報告書」と題する最終報告書が発表された。要旨は以下の通り。

【事実関係】

一、不適合製品の納入先は2017年10月26日に公表した延べ525社に加え、同日設置した外部調査委員会の調査で新たに延べ163社が判明した。

一、顧客仕様を満たさない検査結果について、満たす数値に改ざんする行為、測定したかのように試験結果を捏造する行為などが確認された。

一、アルミニウム・銅事業部門では、役員2人が工場勤務当時に不適切行為の存在を認識しており、ほかの役員1人も2017年4月に認識した。過去の役員2人は役員就任以前に直接関与していた。

一、アルミ・銅事業部門の真岡製造所では遅くとも1970年代から不適切行為が行われていた。

一、アルミ・銅事業部門のグループ会社では、実測データなどを記録した「トクサイリスト」を参照して顧客仕様を満たす検査結果を証明書に記入していた。

【原因分析】

一、本社の収益評価に偏った経営姿勢に従い、各事業部門は工程能力を十分に検証することなく受注するといった生産至上主義に陥った。経営陣が抜本的な対応を行わず、事業部門内の監査も行き届いていなかった。

一、人事異動がほとんど存在しない閉鎖的な組織、顧客仕様を逸脱しても一定程度なら出荷しても構わないといった誤った考え方が動機となり、不適切行為を継続させる要因となった。

一、改ざん、捏造を可能とする検査プロセス、単独かつ固定化した業務体制、順守が困難な社内規格の設定があった。

【再発防止策】

一、社外取締役を3分の1以上とする。会長職を廃止して、社外取締役の中から議長を選出し、任意の諮問機関である指名・報酬委員会を設置する。コンプライアンスと品質を総括する取締役をそれぞれ配置する。

一、品質保証人材を全社共通の専門人材と位置づけ、事業部門・事業所間を横断したローテーションや育成を行う。

一、試験・検査記録の自動化を進め、データ入力の1人作業をできるだけなくす。新規受注時の承認プロセスを見直す。

【おわりに】

一、コンプライアンス体制のみならず、組織風土や役員・社員の意識の面で根深い問題を抱えている。信頼を失ったことは痛恨の極みで、不退転の決意で再発防止に努める。


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Last-modified: 2019-10-29 (火) 00:22:48