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行旅死亡人

行旅死亡人とは、名前も住所も分からず、かつ遺体を引き取る人もいない死者のことである。イメージとしてはいわゆる「行き倒れ」が分かりやすいが、そうでない場合も多々ある。

概要

行旅死亡人の定義やその扱いについては、「行旅病人及行旅死亡人取扱法」(明治32年制定)に詳細に定められている。それによると行旅死亡人とは「行旅中死亡シ引取者ナキ者」、つまり行旅(旅)の途中で死亡し、遺体を引き取ってくれる人がいない者のことである。またこれに準ずるものとして「住所、居所若ハ氏名知レス且引取者ナキ死亡人」も行旅死亡人とみなす。すなわち行旅中であるという要件は必ずしも不要なのである。

行旅死亡人が出ると、まず発見された市町村において死亡時の状況(時間、場所など)、外見上の特徴などの事項を記載した官報を発行するとともに遺留品中の現金・有価証券(+足りなければ市町村のお金、つまり税金)で遺体を埋葬または火葬する。もし死者の相続人あるいは扶養義務を有する人が明らかになった場合には、それらの人が費用を弁償することになる。最後までそういった縁者が出てこない場合には市町村は遺留品の売却益を弁償に充て、それでも足りない場合は都道府県に請求することができる。

官報での記載され方

ではどのように官報に記載されるのか?ここに具体的な例を書いてみよう。※架空人物の情報です。

本籍・住所・氏名不詳(但しC.Kのイニシャルがあった)、年齢15歳~20歳位の女性、身長162㎝、やせ形、黒色長髪(腰位)、歯並び普通、白色長袖、青色ハイネックセーター、茶色長ズボン、白色と黒色チェックの靴下、パステルブルーの上下女性下着、焦げ茶ローファー、所持品は黒色バッグ(COACH製、中に青色長財布(現金67200円、189米ドル、ポイントカード2枚、無記名PASMO1枚、女性2名が写った写真)白色i-pod、白色イヤホン、水色スマートフォン(iPhone5s)、雑誌1冊、ペットボトル飲料(麦茶)、白色眼鏡ケース(黒縁眼鏡入り)、白色化粧ポーチ(COACH製、中に口紅、ファンデーション、アイライナー)、キーホルダー(鍵2本)、生理用品)

上記の者は平成25年12月27日午後11時07分頃、東京都○○○区○○×丁目1-3にある○○○電鉄○○○線○○駅女子トイレに於いて、駅係員に対し個室が長時間閉まったままと利用客より申し出があり、窓口にいた駅係員と駅前交番の警察官の2名がマスターキーで開錠し個室内を確認したところ、水管にロープをかけ首を吊っているのを発見され、駅係員と警察官がロープを切断し、その場に寝かし心肺蘇生をしていたところ、通報で臨場した救急隊と医師により現場で死亡が確認されたものです。死因は自殺行為による縊死と推定、身元不明で身元引受人が現れないため、平成26年3月19日に荼毘にふし、遺骨を○○○区の○○院にて保管しております。お心当たりの方は○○○区福祉市民課までご連絡ください

平成26年6月19日

東京都○○○区長○×○□

行旅死亡人の例

関連項目


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Last-modified: 2018-05-03 (木) 08:37:58