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<衆院選>署名を目的外利用? 牧原が公示前はがき

2017年10月の衆院選公示前、さいたま市の認可外保育園の存続を求める署名に応じた複数の人に、同市の一部を選挙区とする自民党の牧原秀樹から、保育園存続を報告するはがきが届いた。署名は保護者らの団体が集めたもので、署名用紙には、名前や住所など署名者の個人情報を「要望の提出以外に使用しない」と明記されていた。牧原は署名簿を同市長に提出する際の紹介議員だが、はがきを受け取った人たちの中からは「署名簿が流用されたのでは」との指摘も上がっている。

署名は牧原の選挙区(埼玉5区)内の認可外保育園が2017年3月末で閉園する方針を示したことに対し、保護者らが運営継続を求めて呼びかけた。約1万人の署名が2016年12月、清水勇人に提出された。2017年春までに当面の存続が固まり、同秋には認可と無認可を組み合わせた再編が決まった。

一方、牧原は2017年8月に保育園行政を管轄する厚労省の副大臣に就任。2017年10月の衆院選前に届いたはがきには、「保育園存続についてのご報告」と題され、運営継続を伝えるとともに「8月より厚生労働副大臣を拝命し、年金・子育て・介護を守り抜く活動を今後も続けてまいります」などとあった。

後援会や政党など政治団体による政治活動は、個人情報保護法の主な規制の適用外だが、保護に必要な措置を講じ、内容を公表する努力義務がある。署名用紙にも目的外に使用しないとする記載があった。特定の活動に関わった個人情報で、プライバシーを侵害されたと感じる人もおり、衆院選公示前日にはがきが届いた女性会社員(39)は「保育園存続は良かったが、なぜ牧原からはがきが届くのか」と困惑。同じくはがきを受け取った無職男性(64)は「衆院選で支持を広げる狙いがあったのでは」と話す。

牧原の事務所は「保育園の存続に関して陳情を受けた方々に結果報告したもので、選挙に関するものではない。個人情報の趣旨を逸脱したものではない」とコメントしたが、署名者の住所などを取得した経緯は明らかにしなかった。牧原は弁護士で2005年以降、埼玉5区から5回立候補し、2017年の衆院選を含め比例復活で4回当選している。

正当化できない

田島泰彦・上智大教授(憲法・メディア法)の話 たとえ署名提出時の紹介議員だったとしても、署名者の同意を得ずに自分の政治活動に個人情報を安易に利用したとすれば、正当化できない。署名活動に賛同した重い意味のある個人情報が党派性のある政治勢力へ第三者提供され、目的外に利用されるとプライバシーが脅かされる危険がある。


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Last-modified: 2018-03-29 (木) 17:04:00