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「個人の資質、警察組織に問題も」識者指摘 閉鎖的環境に警鐘

治安維持のために貸与されている拳銃を使い、現職警察官が同僚を射殺するという前代未聞の不祥事が起きた。滋賀県彦根市の滋賀県警彦根署河瀬駅前交番で、同署の井本光(あきら)巡査部長(41)が拳銃で撃たれて死亡した事件。殺人容疑で逮捕された男性巡査(19)は「罵倒された」腹いせに撃った上、実弾入りの拳銃を逃走途中で捨てていたとみられ、短絡的な行動が際立つ。警察不祥事に詳しい有識者からは、個人の資質とともに、風通しの悪い警察組織をめぐる問題を指摘する声があがる。

警察官は高い使命感が必要とされる職業だが、少子化など社会情勢の変化もあり、単なる就職先の一つになっている。この結果、自分を律することができない、警察官として不適格な人物が入ってきている現状がある」

同志社大の太田肇は警察人材の確保をめぐる問題点を指摘する一方、「警察は閉鎖的で上意下達(じょういかたつ)な組織で、ハラスメントなどの問題が起きやすい風土がある。(逮捕された男性巡査は)何らかの理由で耐えきれなくなって犯行に及んだ可能性がある」とみている。

福岡県警と秋田県警で本部長を務めた経験を持つ京都産業大の田村正博は、「悪ふざけなどで拳銃を同僚に向けて懲戒処分された過去のケースとは異なり、今回は明らかに悪意を持って発砲している。地域住民が抱いた不安は大変なものだと思うが、数十年に1回のまれなケースで、確実に防ぐ方法はない」と話す。

ただ「必要な時以外は拳銃を持たせないという考え方もあるが、拳銃の常時携帯は治安行政の本質に関わり、現実的ではない」とも指摘。対策として、「交番勤務は人数が少なく、閉鎖的な環境であるため、人間関係のストレスや悩みなどを相談できる窓口を複数設けることが必要だ」と述べた。


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Last-modified: 2018-05-02 (水) 12:14:08