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佐川宣寿が重ねた嘘の背景、本省局長と思えぬ答弁能力 信頼回復には荒業が必要

森友学園への国有地売却をめぐる決裁文書の改竄(かいざん)を財務省が認めた。

財務省佐川宣寿の国会答弁に合わせるように、本省の理財局から近畿財務局に決裁文書書き直しを指示したと、麻生太郎は説明していた。

財務省から国会に提出された資料を見ると、内容を書き換えているというより、交渉経緯などの部分を削除したという形になっている。この点で、改竄は必ずしも悪質とはいえず、国会対策上、余計な部分を削ったという印象だ。

本省局長の国会答弁での仕事は、現場で行ったことを、当たり障りなく国会で説明することだ。それが佐川宣寿の場合、自分の答弁に現場でやったことを合わせるという本末転倒ぶりは、いくら批判しても足りないくらいだ。実際、佐川宣寿の2018年2月中旬の答弁をみると、今回提示された決裁文書と齟齬(そご)をきたすような発言もしている。

筆者の直感では、佐川宣寿は地方財務局の経験がないので、その実務や決裁文書の流儀が分からないまま答弁したが、野党議員との質疑で追い込まれ、国会審議が乗り切れないと思い、決裁文書で交渉経緯などを削除したのではないか。

現場の近畿財務局の決裁文書は、本省から見ると余計なことも書いている。しかし、その記述自体に間違いはないだろう。

本コラムで何度も指摘しているが、そもそもこの問題は近畿財務局のチョンボである。つまり、当初から地中のゴミを示した上で入札案件としておけば、価格の問題はなかったはずだ。それを随意契約にしただけでなく、地中のゴミに関する説明が十分でなかったために「トラブル随契」になってしまった。

そして、随意契約の相手方の籠池泰典は、政治家の関与をほのめかしながら近畿財務局をゆすったという案件だ。

ただ、近畿財務局は、初手では入札にしなかったというミスをしたが、その後は政治家の“介入”に配慮もせずに、ミスをしていない。

筆者が国会答弁するのであれば、入札にしなかったミスにはあえて言及しないにしても、随意契約の過程で「価格交渉」があったことは明かし、そのプロセスは適正であったと説明するだろう。

佐川宣寿は「価格交渉」がないかのように答弁していたが、これは嘘であることは各種の情報からすぐばれる。そこで、決裁文書の改竄をして、その後は「文書を破棄した」というなど嘘の上塗りを繰り返した。筆者は元財務官僚だが、本省の局長がこの程度の答弁をできなかった点に驚いている。

本省局長といえば、所管では財務省を代表できる立場だ。誠実に答えないどころか、場合によっては嘘もつくというのは、最近の財務省では、他の分野でも見受けられる。

例えば、消費増税をしないと、財政再建をしないとみなされ、国債が暴落するという意見がある。実際、10%への消費増税をスキップした際に流れた。実際に言わないにしても、その意見の親元は財務省ということが多い。財務省の信頼回復には組織解体のような荒業が必要だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)


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Last-modified: 2019-10-29 (火) 00:32:38