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佐川宣寿の証言拒否で改めて痛感した 人事権乱用の恐怖支配

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真相解明には程遠い尋問だった。森友文書の改ざん当時、理財局長だった佐川宣寿の証人喚問が衆参両院で2018年3月27日に行われた。

いつ、誰が、どのような動機で改ざんを指示したのか――。肝心な部分を聞かれると、佐川宣寿は「刑事訴追の恐れ」を理由に証言を拒否。計14件約300カ所にわたる公文書改ざんに、自分がどのように関わったのかについても一切答えず、証言拒否の回数は衆参合わせて、実に50回以上にも及んだ。

一方で、改ざんは「理財局だけでやった」と認め、「当時の局長として責任はひとえに私にある」と頭を下げて謝罪。安倍晋三安倍昭恵、官房長官、同副長官、首相秘書官、同補佐官、麻生太郎財務省の事務次官、官房長からの指示については断定的に否定してみせたのだ。

国民が最も知りたいことは「刑事訴追」を理由にけむに巻き、安倍晋三夫妻らの指示も協議も相談も関与も影響も根拠なく、キッパリと「なかった」と言い切る。あえて悪役を引き受け、全ての責任を一身に背負い、安倍晋三政権をかばっているかのようだった。証人喚問の場でも、政権に「忖度」したのか。

なぜ、かくも上級クラスの官僚の間で忖度の嵐が吹き荒れているのか。その原因を突き止めようとすると、やはり2014年5月に発足した内閣人事局の弊害にたどり着く。

従来、各省庁の判断に委ねられていた審議官級以上の幹部職員600人の登用について、内閣が一元管理。それまで事務方の自律性と無党派性に配慮して政治介入を控えてきた幹部官僚の人事権を、安倍晋三政権は牛耳ったのである。

ただでさえ、中立性を度外視して日銀総裁や内閣法制局長官を「わが意」をくんだ人物にすげ替えてきた政権だ。幹部人事を完全に掌握した結果、政権に歯向かった将来の有望株だった官僚が左遷や更迭された省庁は枚挙にいとまがないと聞く。

出世を考えれば政権に逆らわない方がいい、と官僚たちも過度に政権サイドの顔色をうかがうようになり、「全体の奉仕者」としての本分を捨て去って、時の政権に忖度しまくるようになったのだ。

内閣人事局を通じた「恐怖支配」は、司法、立法、行政の三権分立を明示している憲法に違反する。憲法違反の人事制度の悪影響が今回の森友問題で露呈したのだ。

野党は森友問題の追及で手いっぱいかもしれないが、ゆくゆくは内閣人事局の問題を国会で取り上げ、解体させなければ、この国の官僚機構は北朝鮮と同じ独裁国家へと一直線である。


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Last-modified: 2018-05-04 (金) 01:15:48