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沈黙貫けば逃げ切りなのか 佐川宣寿喚問はこの国の分水嶺<下>

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野党に爆弾ネタはあるのか、これだけある追及のポイント

改ざんに官邸や政治家の関与や圧力はなかったのか――。佐川宣寿から核心証言を引き出すため、野党は「爆弾ネタ」を仕込んでいるのか。

共産党の機関紙「赤旗」は先週、森友疑惑が発覚した2017年2月以降、近畿財務局内で、森友側との取引が「安倍晋三事案」と呼ばれていたことをスクープ。財務局関係者は「当初から安倍晋三夫妻が関わっていた案件というのは『常識』で、特別な扱いがされた」と証言し、局内で「『安倍晋三事案』で自分たちだけでは判断できない」「官邸筋や本省から理不尽なことをやらされている」と語られていたという。

これが事実なら、現場レベルは森友学園への特別扱いが「安倍晋三事案」だと「常識」として受け止め、改ざんも「官邸筋」が押し付けたと認識していた可能性がある。ぜひ佐川宣寿に見解を問いただすべきだ。

国交省にも残っていた決裁書について、理財局が近畿財務局と同じように改ざんするよう依頼した疑惑もくすぶったまま。世間が森友一色だった2017年2月中旬から3月にかけて、佐川宣寿から籠池泰典被告に「身を隠すように」と指示を出したとの疑いもある。

この疑惑について、2018年3月23日の籠池泰典被告との接見後、希望の党の今井雅人が「証人喚問で追及する」と明言した。前出の五十嵐仁はこう言った。

「2018年3月7日に改ざんに関わったとされる近畿財務局の職員が自殺し、2018年1月29日には財務省本省の理財局国有財産業務課の30代の係長も自殺。2017年3月には8億円値引きの根拠となった残土搬出を請け負った下請け業者の社長も自殺したと報じられました。佐川宣寿には酷だろうと、野党には『アナタをかばうために皆、死んでいったのか』と追及して欲しい」

2017年2月17日の衆院予算委で安倍晋三は「が関係していれば、総理大臣国会議員も辞める」と豪語。2017年2月24日の会見で菅は「決裁文書に、(交渉経緯の)ほとんどの部分は書かれているんじゃないでしょうか」と言い切った。これらの発言を佐川宣寿がどう受け止めたのかも追及のポイントとなる。

野党の追及で新事実は飛び出すのか。注目したい。

まだ安倍晋三が吠えていた自民党党大会に国民は唖然

異様な雰囲気だった――。

2018年3月25日、グランドプリンスホテル新高輪(東京)で開かれた自民党大会。党所属の国会議員や都道府県連幹部、一般党員ら約3500人が会場を埋め尽くす中、安倍晋三は演説の冒頭で、財務省の「決裁文書改ざん問題」について「行政の長として責任を痛感している」と謝罪し、こう続けた。

「なぜ、このようなことが起こったのか徹底的に明らかにし、全容を解明して参ります」

安倍晋三夫妻が引き起こした問題なのに、まるで他人事なのである。

謝罪や真相解明の「決意」とは裏腹に、官邸は全責任を佐川宣寿に押し付けようと躍起だ。

佐川宣寿が、佐川宣寿が」の大合唱で“トカゲの尻尾切り”に邁進しているのに、「全容解明」なんてどの口が言うのか。党大会に出席した自民党ベテラン議員のひとりは、官邸主導の行政にこう苦言した。

「『佐川宣寿一強』といわれるように官邸の力が非常に強くなっている。内閣官房が各省庁の幹部クラスの人事を握っている現在の制度では、官邸に“いい顔”をしたくなるのも無理はないでしょう。官房副長官が人事権を掌握していることが一番の問題です」

それを許している自民党の腐敗も度し難い。財務省が文書改ざんを発表した2018年3月12日以降、内閣支持率は“危険水域”ギリギリの30%台まで落ち込んだ。それなのに、安倍晋三が演説で憲法改正について「(自衛隊の)違憲論争に終止符を打つ」「(憲法改正が)自民党の責務」などとブチ上げると、ヤジが飛ぶどころか、会場内は拍手喝采のありさまだった。

大会終了後、取材に応じた数人の県連幹部は改ざん問題や改憲について「安倍晋三を信じるしかない」「総裁3選に向けて(安倍晋三が)頑張ってもらわないと困る」と、相変わらずの安倍晋三サマ支配。

国政を揺るがす問題が目の前にあっても、思考停止の安倍晋三自民に国民は唖然としている。

脳天気な“主犯”安倍昭恵と決定的に嫌われている黒幕首相秘書官の評判

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森友問題の真相究明が国民的な関心事になっているのに、疑惑の渦中にあっても能天気にSNSを更新し、華やかなパーティーに出かける安倍昭恵の鈍感さは、フランス革命時のマリー・アントワネットを彷彿させる。

応援団の産経新聞にまで「今は行動自粛されては」とたしなめられる始末。2018年3月25日の自民党大会でも、地方組織幹部が「国会の外でもいいから、記者会見などできちんとご説明いただいた方がいい」と苦言を呈していた。

森友疑惑の核心は、籠池泰典との親密な関係を考えれば、おのずと安倍昭恵の“主犯”説にたどり着く。ただ、“犯罪”を遂行する能力はまた別物だ。学園との不可解な国有地取引も公文書改ざんも、官僚機構を熟知した司令塔が官邸内にいたことをうかがわせる。

文科省前川喜平は「週刊朝日」(2018年3月30日号)でこう言っている。

忖度ではなく、官邸にいる誰かから「やれ」と言われたのだろう。私は、その“誰か”が安倍晋三秘書官の今井尚哉ではないかとにらんでいる>

安倍晋三の側近中の側近として官邸内を取り仕切り、“陰の総理”と呼ばれているのが今井だ。

「政局から政策立案、広報対応に至るまで、あらゆる分野で安倍晋三の決断に対する絶大な影響力を持っています。安倍晋三に知らせたい情報を耳元で囁き、不都合な情報は遮断する。安倍晋三のスケジュールも握っていて、会わせる人を選別するというし、今井に睨まれると人事で報復されるという噂で恐れられ、嫌悪している人も少なくありません」(霞が関関係者)

国有地売買の過程では、安倍昭恵付だった谷査恵子が財務省に問い合わせを入れたことが分かっている。谷の上司だった今井なら何か事情を知っているはずだ。

安倍昭恵は当然のこと、今井にも国民への説明責任を果たして欲しい。

追い詰められた狂乱政権は疑獄潰しのためにありとあらゆることをやるだろう

もはや青息吐息とはいえ、安倍晋三政権は往生際の悪さだけは天下一品だ。疑獄潰しのために、何を仕掛けてくるか分からないのが、この狂乱政権の怖さでもある。

国民世論はすぐ忘れるとナメているところがある。まず、佐川宣寿の証人喚問を乗り切って、2018年4月の日米首脳会談で成果をアピールすれば、目先を変えられると考えているのではないか。ドナルド・トランプがマクマスターを更迭し、対外強硬派のボルトンを後任に選んだことも好機と見ているでしょう。北朝鮮の脅威を煽り、戦争にでもなってくれれば、森友疑惑も吹っ飛ぶと期待している可能性もあります」(高千穂大教授の五野井郁夫=国際政治学)

このタイミングで、政府が放送事業の規制緩和を検討し始めたことも、疑惑封じと無関係ではない。具体的には、「政治的公平」などを定めた放送法4条を撤廃し、ネット事業者にも放送事業の門戸を開放するというのだ。この背景には、安倍晋三テレビ番組の政権批判に不満を持っていることがあるとされる。放送法4条は、番組内容に政治が介入する口実にも使われるが、政治的公平の縛りをなくせば、安倍晋三を盲目的に支持する番組や、ネトウヨ的な思想を全開にした偏向報道を助長しかねない。

「本来、表現の自由という観点からいえば、放送法4条の撤廃は歓迎すべきことかもしれません。しかし、これまで散々メディアに圧力をかけ、批判的なコメンテーターを迫害してきた現政権が言い出すと、うさんくささしかない。政治的倫理を引き下げ、フェイクニュースを垂れ流すことが目的としか考えられません。そういう環境で憲法改正の国民投票をやってしまおうという魂胆なのではないか。また、ネット事業者にも開放すると言えば、それ自体が民放キー局への圧力になり、新たな忖度を生むことにもなりかねません」(五野井郁夫)

2017年は、モリカケ疑惑をチャラにするための解散・総選挙に打って出た。今回も同じ手で逃げ切りを図る可能性があるが、この反動政権に延命を許せば、この国は破滅する。ここでトドメを刺して、退陣してもらうしかない。


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Last-modified: 2018-05-17 (木) 15:55:42