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群馬大学医学部附属病院また医療ミス 病院長「責任果たせた」 危機感なし…遠い信頼回復

群馬大学医学部附属病院(前橋市)でまたもや医療ミスが発覚した。病院側は2018年3月30日に開いた会見で、担当医がコンピュータ断層撮影(CT)の診断報告書を誤認し、70代の男性患者の胆管がんの治療が遅れたことについて「原因は報告書の誤認であることは明らか」としながらも危機感のない弁明に終始。事後的な対応でも、がんを発見し、「できるだけの責任は果たせた」とまで言い切った。腹腔鏡手術などを受けた患者が相次いで死亡した問題をきっかけに改革を誓ったはずが、信頼回復がさらに遠のいた。

死亡した70代の男性患者の担当医は2016年7月の診察で報告書を確認する際、「例年だと最新のものがある」と判断してパソコンを操作したが、報告書は前年のものだった。

病院側が会見で提示したパソコン画面には各報告書の年月日が明記。誤認は防げたはずだった。

それでも見落とした理由について、病院側は、男性が年1回のペースでCT検査を受けていたため、「日付が極めて似ていた。(画面上の)一番上にあって、思い込みなのかもしれないが、診察当日のものと勘違いした」と弁明した。

病院によると、一般的にCT画像の撮影から24時間以内に報告書を完成させることが目標となっている。しかし、この日の診察は撮影から1時間しか経過しておらず、報告書は完成していなかった。加えて、当時は見落としがなかったか病院内でチェックするシステムもなかったという。

担当医は自身もCT画像を目にしており、その時点で悪性腫瘍の可能性に気付けなかったのかという疑問も残るが、田村遵一病院長は、「見落としは見落としだが、ある程度やむを得ないと個人的には思う」と述べた。

男性は、他の医師からの指摘などで胆管がんが発見された時点で「手術できない状態」(病院側)まで病状が悪化。自宅に近い病院へ転院して治療を続け、死亡した。しかし、田村病院長は事後的な対応でも、がんを発見したことについて、「そのまま見過ごしていた例は世の中にたくさんあったと思う。できるだけ責任を果たせたことは前向きに捉えていきたい」と強調。世間から乖離(かいり)した認識を露呈させた

担当医の見落としと、がん進行の因果関係は、今後立ち上げる医療事故調査委員会が調べる予定だ。


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Last-modified: 2018-03-31 (土) 08:09:44