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高麗(こうらい)

高麗とは、朝鮮半島に存在した王朝である。転じて現在の朝鮮の異称の一つでもある。首都は現在の北朝鮮にある開城に置かれた。

概要

高麗が朝鮮半島に出来る前、半島はもともと統一王朝を築いていた新羅が衰退し、10世紀には後高句麗、後百済と呼ばれる王朝が相次いで成立する再度の三国時代に突入していた(後三国時代)。この内、失政を重ねていた後高句麗を部下の王建(太祖)が滅ぼして建国したのが高麗である。918年のことであった。

高麗はその後、勢力を日に日に失っていた新羅を降伏させ併合し、後百済を滅ぼして936年に半島を統一する。

建国後、北部では契丹や女真族(金)の侵入に悩まされ、13世紀には蒙古(モンゴル)によって征服されることとなる。蒙古改め大元は高麗の内政干渉も行った。また元寇(文永・弘安の役)にも参加し日本(鎌倉幕府下)と戦っている。その大元の勢力が衰えると今度は半島北部に進出したり、逆に紅巾の乱の軍に都を一時落とされたり、海賊・倭寇に悩まされりした。

大元の北方追放による明の建国後、大元と明のどちらを重視するかで内部争いが発生し、最終的に親明派の李成桂が王朝を簒奪して朝鮮李氏朝鮮)を1392年に建国、474年間半島に存在した高麗は滅亡した。

高麗の時代、朝鮮半島で現存する初の歴史書である「三国史記」(1145年)が生まれている。仏教を重んじ貴族文化が栄えた。後継王朝の李氏朝鮮時代よりも華やいだ時代と唱える見方も強い。

現在でも朝鮮半島の異称として用いられることが多く、南北問題から「朝鮮」「大韓/韓(国)」いずれの呼称も用いずに半島エリアを指し示すときに使われる例もある。朝鮮人参を「高麗人参」と呼んだりするのが一例である。

他に北朝鮮の国営航空会社は「高麗航空」を名乗っている。

また朝鮮韓国の英語呼称である"Korea"(コリア)は高麗に由来している。

なお日本の埼玉県に「高麗郡」(こまぐん)がかつて存在した。これは8世紀に三国時代の高句麗が滅亡した際、遺民が移り住んだことにちなむものである。現在もその高麗郡にかつて属していた日高市の中心駅が「高麗川駅」を名乗っているが、郡の名残である。


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Last-modified: 2020-01-28 (火) 15:19:12