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新事実次々、政府説明に疑義=文書保管、官邸への報告-改ざん問題

学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書改ざん問題では、改ざん前データの省内での保管や安倍晋三官邸への報告時期など政府の従来の説明に疑義が生じる新事実が次々と明らかになっている。2018年3月19日の参院予算委員会の集中審議では、安倍晋三安倍昭恵の関与、財務省忖度(そんたく)とともに、これらも論戦の焦点となりそうだ。

◇本省システムに文書

財務省の太田充は2018年3月15日、改ざんした14件の文書のうち「特例承認」の改ざん前のデータが、文書を一元的に管理する同省の電子決裁システムに残っていたと明らかにした。財務省は当初、改ざん前の文書は「本省には残っていない」と説明しており、太田は「調査の過程で知り得た」と苦しい釈明に追われた。

財務省は2018年3月8日、改ざん後の文書の写しを国会に提出し、富山一成は「近畿財務局にある文書はこれが全てだ」と言い切った。だが2018年3月12日には本省理財局や近畿財務局の一部職員がパソコンの個人フォルダに改ざん前のデータを残していたことが判明。近畿財務局の職員が改ざん前文書の一部を控えとして個人的に保管していたことも分かっており、省内調査のずさんさをうかがわせる。

システムには、他の改ざん前文書も残されている可能性がある。野党側は「事実を隠蔽(いんぺい)しようとした証拠」とみて、集中審議で厳しく追及する方針だ。

安倍晋三、2018年3月5日前に把握

安倍晋三麻生太郎は改ざんの報告を2018年3月11日に受けたと答弁している。だが、国土交通省は、保管していた財務省作成の文書が、その後に国会議員に提示されたものと違うことを把握し、2018年3月5日に杉田和博と財務省に報告。杉田は2018年3月6日に安倍晋三と菅義偉に伝えた。安倍晋三は改ざんの疑いが濃いことを把握していたが、2018年3月8日の参院予算委では「政府としても、誠意をもって対応していく」と述べるにとどめていた。

菅は2018年3月16日の記者会見で、財務省が2018年3月9日に大阪地検に協力を依頼し、2018年3月10日に改ざん前文書の写しを入手して確認したためだと説明。しかし、野党側は「数日間隠していたことになる」(共産党の志位和夫)と問題視している。

佐川宣寿が指示?

最大の焦点は、誰が何のために改ざんを指示したかだ。麻生太郎は、当時の理財局長である佐川宣寿が「最終責任者」であり、「改ざんは理財局の一部が行っていた」と、同局内で完結しているとの認識を示している。だが、野党側は2017年2月17日に安倍晋三が「安倍昭恵が(土地売却に)関係していたとなれば、首相も国会議員も辞める」と答弁したことが影響したとみている。太田は2018年3月16日、改ざんの背景について「政府全体の答弁は気にしていたと思う」と述べ、安倍晋三答弁の影響を否定しなかった。

学園側は財務省に、国有地を視察した安倍昭恵が「いい土地ですから、前に進めてください」と語ったと伝えており、財務省忖度があった可能性が指摘されている。ただ、刑事罰に問われかねない公文書の変造に至ったことについて「局長の独断とは考えにくい」として、安倍晋三麻生太郎らの関与を疑う向きは与党内にもある。

このほか、虚偽の疑いが出ている約8億円の値引きの根拠となったごみの試掘調査結果や、財務省が否定し続けた価格交渉を認めるかも論点となりそうだ。


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Last-modified: 2018-05-01 (火) 20:20:46