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陸自イラク日報「隠蔽」は安倍晋三政治への“忖度”であり必然

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陸上自衛隊のイラク派遣時の日報は、これまでないとされてきたが、実際には存在した。だが、防衛相には報告されず、今シビリアンコントロールの危機などと批判を集めている。

森友問題では決裁文書の改ざんが行われた。防衛省財務省、2つの事件の原因を併せ考えれば、結局は官僚や上に立つ者が「民は由らしむべし、知らしむべからず」という頭だからだ。

とりわけ自衛隊の日報問題では、暗愚の安倍晋三が強行し、2014年12月から施行した「特定秘密保護法」の影響が考えられる。

同法では特定秘密の真っ先に「防衛に関する事項」が挙げられ、「自衛隊の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究」などと記されている。

陸上自衛隊防衛省が「イラクでの活動は自衛隊の運用に関することだから、特定秘密ではないまでも、それに準ずる扱いにすべきだ」と拡大解釈してもなんら不思議はない。情報を漏らした者に対しては、最高で懲役10年が科せられる。であるなら、最初から大事をとって「日報などない」と強弁した方が無難と考えたはずだ。

おまけに当時の稲田朋美が頼りないことおびただしいから、日報があると報告した後、国会で野党の質問攻勢にうまく太刀打ちできるか不安である。それなら最初からないことにした方が結局は稲田朋美のためだし、ひいては安倍晋三内閣のためにもなろう。

これまた「忖度」の類いだが、こうして防衛省は日報を隠した。

自衛隊は2003~2009年までイラク復興支援特別措置法に基づき、「非戦闘地域」といわれながら実際は「戦闘地域」と疑われる地域に陸上550人、海上330人、航空200人を派遣・投入した。

陸上自衛隊は延べ人数で約5600人になるが、帰国後、うち21人、航空自衛隊では8人が自殺している。PTSD(心的外傷後ストレス障害)の結果だろうが、派遣された地は心を病むほどの戦闘地域だった。

であるなら、なおさら政府のために、派遣地の厳しい状況を伝える日報は見せられない。なにしろ安倍晋三政権はアメリカのため、自衛隊員を海外に派兵したくてたまらない。「安全だ、戦死する地域じゃない」としゃにむに隊員を戦地に送り出した。そのために新テロ特別措置法や国際平和支援法、周辺事態法の改正など、やたらに法律も整えた。

だから日報隠蔽騒ぎはシビリアンコントロールうんぬんというより、むしろなるべくしてなった安倍晋三政権の咎めである。彼らには公文書が「国民共有の知的資源」といった観念はまるでない。


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Last-modified: 2019-10-29 (火) 00:16:44