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風評被害

風評被害(ふうひょうひがい)とは、根も葉もない噂により経済的な被害を受けること、非難を受ける対象とは別のものが攻撃されてしまうことなどを意味する言葉である。

概要

風評被害の「風評」とは、世間の噂や世評のこと。「被害」とは害を被ること。

そこから風評被害といえば根拠のない噂により害をうけることを指し、特に事件や不祥事・事故災害・不適切な虚偽の報道等それらを原因とするデマによって、事実に全く関係のない企業団体や個人などが、生産物やサービスの品質低下を懸念されて消費や取引を敬遠されるなどの大きな損害を受けることを指す。

実例を挙げると、

一般には結果として経済的な損害を伴う場合に用いられ、単に心象を悪くした、という程度では当てはまらないことが多い。上記の例で言えば、この風評が原因で売上が相当に減少したという事実が必要となる。

2.の場合、「当社は○○商事殿とは一切関係ございません」といった告知の類で被害が止められるのであれば風評被害とは呼ばれないが、その対応に相当な広告費を費やしたのだとすれば充分風評被害と言える。そもそも不当に土俵下に下げられた時点で一種の機会費用を失っていると見ることは出来るだろう。

個人に限っては、経済的な側面によらずとも風評被害と言われることがある(アラブ系というだけで飛行機の搭乗を断られるなど)。

問題点

危険意識に対する認識の不足

ことある毎に「それは風評被害である」という公式発表と、好感度を上げる為の行為(例:大臣にカイワレを喰ってもらうなど)で事態を収拾させようとする企業が多いが、それらの行動は結局「その場凌ぎ」に過ぎない。

企業が経営を行う以上、ライバル企業、個人によるネガティブキャンペーンや謂れのない非難、風評といった負の外部効果のリスクからは逃れられない。それらの危機に適切に対処出来る企業だけが、会社の品質を維持出来るのである。

これらは未来永劫決して起こらない事態ではない。今後の管理を改める転機とするかしないかでは組織の行く末が大きく変わる。「風評被害」を単なるもらい事故や不測の事態と片付けて制度の見直しを怠れば同じ事の繰り返しとなり、信用は大きく失われるだろう。

本質を避けるという問題

風評被害という言葉が本来の意味を離れて一人歩きし、「現実に問題が発生している、あるいはその可能性がある」事象に対しても安易に用いられ、本質に対する考察や対処を回避し、誤魔化す為の一種の常套句と化している。

2011年3月の東日本大震災を発端とした原発事故に際しては、基準すら慌てて定めたような事態の中、風評だ、風評だとばかり叫ばれているが、その全てが「風評」被害ではない。

放射性物質に汚染されている可能性がある農産物や石等を避けるという消費者行動は「根も葉もない噂によって導かれた結果」ではない。特定地区に汚染が起こっていることは事実であり、範囲を明確に示して被害の補償に対処すべきである。農業や漁業に携わる人々が受けているのは「風評による被害」ではなく、「放射能による被害」なのだ。

ただし、福島県は非常に広大な面積を有する。会津あたりまで一律に問題視されるのであれば、当然隣県も対象になってしまう。こういった意味で「○○県産は大丈夫」「福島県産はダメ」といった対応や認識は適切でない。

報道機関のあり方の問題

ネット社会にあっても尚、テレビ新聞といった報道機関が一般に与える影響は大きい。噂話を全国区で拡散する力は報道機関にしかないといっても過言ではない。報道や広告宣伝によって生ずる効果も、不確実な情報や間違いを拡散することによって生ずる効果も、情報を発信した以上は共に同じなのである。

しかし、これらを肝に銘じ責任を以って番組や紙面を構成すべき筈のマスコミが「所沢ダイオキシン問題」のような誤報道、「セシウムさん」のような悪ふざけを放映しているのが現状である。視聴者はこれらの報道を鵜呑みにせず、冷静に対応し判断する必要に迫られているのだ。

関連項目

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Last-modified: 2019-10-28 (月) 12:45:35